私が実践したリード獲得のための漫画マーケティング。【参考事例つき】

2020年4月9日 BtoBマーケティング ビジネスマンガ

漫画マーケティング

最近、増えている感があるBtoBでの漫画活用。ソフトウェア会社でBtoBマーケティングに携わってきた私自身の経験談もまじえ、BtoBでの漫画活用法やメリット、成果、事例などについて解説します。

1.BtoBマーケティングでも再燃しつつある漫画活用

BtoBのビジネスでは継続的に良質なリードを獲得し続けることが求められます。私もソフトウェア会社に勤務していた頃は、リード獲得目標を追い続ける毎日でした。イベントや展示会で結構な数のリードが取れるのですが、ぶっちゃけ薄い。なので、マルケトを使ってメールマガジンを配信し、リードのフィルタリングを行ったうえでセールス部門に引き渡していました。

その時に活用したコンテンツのひとつが「漫画」です。最近はBtoBでもまた増えているように思います。特にIT系で多いですね、サイボウズさんとか結構力を入れていて個人的に大好きです。

ちなみに私が漫画を活用しようと思った理由は、シンプルに反応率がよかったからです。過去のデータを洗ったところ、1件のメールで100件以上、安定的にダウンロードされていました。ホワイトペーパーなど他のコンテンツに比べても高い結果になっていました。考えてみれば、私自身もジャンプ世代で漫画はよく読みましたし、今も読みます。少年ジャンプが600万部越えという偉業を達成したのが1991年。その頃の小学生は今34歳~41歳で現役バリバリのビジネスマンなんじゃないでしょうか。

「もしドラ」のブレイクをきっかけに、ビジネスマンガ本も増えました。書店にいけば最近はすごいですね、WebマーケティングからSDGs、7つの習慣までなんでも漫画で解説してくれています。

ちなみに「Twitter漫画」のGoogleトレンドはこちら↓きっとこんな波がBtoBマーケにも押し寄せるのではないでしょうか?

Twitter漫画



2.漫画をBtoBで活用するメリットとその効果

じゃあ漫画をどうやってBtoBマーケティングに活用すればよいのか?私が取り組んできた内容も可能な限りおりまぜながら、ご紹介します。

漫画はコンテンツのひとつなので、はっきりいってBtoBマーケティングのほとんどのシーンで活用できます。

①リスティング広告(バナーやLP)

リスティング広告を運用されているBtoB企業は多いと思います。そこでのバナーやLP(ランディングページ)のCTA(コールトゥアクション、要はCVポイントです)に漫画を活用できます。商材にもよりますが、通常CPAが30,000円とか、50,000円でしょうか。私が取り組んだ中では10,000円台まで改善できたケースもあります。

②SNS広告

FacebookやInstagramなどでBtoBの広告を見ることも多くなってきました。興味関心などの属性でセグメント配信できるSNS広告は主に潜在層向けです。リスティング広告やリマケほどの濃度はないかもしれませんが、漫画でわかりやすくメッセージを伝えることができれば、課題認識や興味喚起につなげられます。

③メルマガ配信

ベタですがハウスリストなどへのメール配信は鉄板の施策です。個人的に、昨今のコンプライアンス意識の高まりやCookie規制などを加味すると、企業のリードの獲得コストは増加すると考えています。ということは、既存リードのエンゲージメントをいかに高めていくか。ほんとうの意味でのリードナーチャリングが必要になります。漫画をメール配信すると、結構ファンの方も増えます。営業経由で早く次回作が読みたいという注文ももらいました(笑)。

④WebサイトのCVポイントとして

一番うえのリスティング広告の活用法と似ていますが、広告用LP以外のWebサイトにCVポイントとして漫画を設けるとCVRはあがります。私の実績ではオーガニック(主に製品指名キーワード)のCV数が1.5倍に増加しました。まあこれは、単純にCVポイントが増えたから、というのもあるかと思いますが。

⑤展示会やセミナーなどオフラインでの配布物

展示会やセミナーのノベルティとしても漫画は活用できます。複数の漫画をひとつの冊子にして配布するという使い方も可能です。また営業活動時の配布資料としても活躍してくれました。BtoBは意思決定者が多く、商談で同席した人以外にも資料を回覧するケースがあります。実際に、漫画を見てくれた役員に刺さって見込み案件になった、という事例もありました。

こうやって振り返ると、コンテンツマーケティングの中で漫画にはずいぶん活躍してもらいました。

3.なぜ漫画で効果があがったのか、考察してみた

なんで、漫画で効果があがったのか、再現性を高めるために自分なりに考察してみました。

・CPAを下げられた要因

広告のバナーなどに活用しCPAを下げられた理由は、バナーのCTRがあがったことが考えられます。漫画はテキストと画像だけのバナーよりも目を惹きつけることができます。また、ひとコマでシーン訴求ができ、情報量が多く広告面を無駄なく使えます。それでいて、「視聴コスト」も低い。視聴コストというのは読んだり見たりするのに必要な労力で、私の造語です。視聴コストが低いというのは重要な気がします。

・オーガニックのCV数が増加した要因

これはもしかしたら新たにCVポイントを追加したからというのが大きいかもしれません。CVポイントを追加することで、それまで取り逃していたユーザーをキャッチアップできたのだと思います。では漫画でなくてもよかったのでは、となりますが、漫画をCVポイントにしたことで、CVのハードルが下がったことも考えられます。ホワイトペーパーや導入事例はちょっと時間ないし読むの面倒だけど、漫画なら、というイメージでしょうか。

・獲得(提供)リードが増えた要因

シンプルにメール配信のネタが増えたからというのが大きいかもしれません。ただ、メールの開封率やページ遷移後のCVRも比較的安定していました。LPの見せ方次第でもっと改善できたかもしれませんね。ちなみに実は漫画以外にもWeb小説みたいなものも配信していたのですが、こちらも反応はよかったです。「物語」というコンテンツはやっぱり手に取りやすいんでしょうか?

・成約率向上に寄与した要因

これは先ほども述べたとおりで、営業資料として回覧されることが多く、その際に意思決定者(ステークホルダー)の理解を得やすかったというのがあげられます。つまり、社内稟議の最初の段階で利用される可能性が高いということです。漫画のわかりやすさも寄与していると思います。自社の訴求ポイントやセールスシナリオに合わせたストーリー展開ができるため、自然と関係者への「啓もう」ができるというのもメリットです。

さて、漫画で効果が出る理由として「視聴コスト」をあげました。バナーやWebページ、導入事例、ホワイトペーパーなどと比較し、同じ情報を理解するために必要な労力が少ないということです。「漫画でわかる」という書籍が大量に販売されていることからも「漫画であること」の大きなメリットはここにあるように思います。

加えて、CTRやCVRをさらにあげるためには、いかに「おもしろそう」と感じてもらえるか、が重要だと思います。タイトルと表紙が重要になります。メールだと件名とLPの作り方ですかね。漫画家の画力も、もちろん重要になります。「もしドラ」はタイトル勝ちだと個人的には思っています。

漫画としてのおもしろさ、魅力ぶんだけ、CVRにアドオンされるイメージでしょうか。 もちろん、ホワイトペーパーや導入事例を否定するわけではありません。人によっては好みもありますし、タイミングもあります。コンテンツのバリエーションとして漫画を増やすことで、CVRは改善できますが万能ではありません。まあホワイトペーパーとかもそうですが、つまんないコンテンツはたいしてエンゲージメントをうみません。なので、少なくとも一定以上のクオリティは必要だと思います。

4.BtoBでの漫画活用事例

一定以上のクオリティって?ということで、ここからは私が探して見つけて、いいな!と思ったBtoB漫画をご紹介します。

マンガで学ぶ!実話に基づく営業の働き方革命

サイボウズ漫画

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サイボウズ株式会社さんのサービス、「メールワイズ」の紹介漫画です。まあまず注目はその画力ですね。私がダウンロードした際にはその画力でCVさせられました(笑)。表紙のタイトルやコピーもいいですね。「働き方改革」や「実話」というフレーズに力があります。ボリュームが結構あり24ページの大作です。ですが、ストーリーもテンポよくサクサク読むことができます。

マンガでわかるSFA

ジャストシステム漫画

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株式会社ジャストシステムさんのSFA、「JUST.SFA」の紹介漫画です。シーズン1が1話~5話まで掲載されています。漫画に「Dual」というタイトルがつけられています。画もきれいで読みやすいですね。二人の主人公が二人三脚で問題を解決していく様子は、連載できるんじゃね?ぐらいのクオリティです。

漫画で解説 ESET装備 VS ウイルス

ESET漫画

キヤノンマーケティングジャパン株式会社さんによるセキュリティソフト「ESET」の紹介漫画です。SFタッチの漫画は往年の名作アキラを彷彿とさせます。漫画はバッドエンドとハッピーエンドが用意されていて、とてもわかりやすいです。セキュリティに興味がある方ならくすっと笑いをそそるようなおもしろい内容になっています。

マンガでわかる 経営課題を解決する鍵/従業員エンゲージメント

tokenote漫画

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Talknote株式会社さんのコミュニケーションツール、「Talknote」の紹介漫画です。あの「島耕作」の制作プロダクションが手掛けているという、なんとも贅沢な漫画。企業の課題と解決策をわかりやすく紹介されています。

マンガでわかる! SmartHR

smartHR漫画

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株式会社SmartHRさんの人事労務ツール「SmartHR」の紹介漫画です。人事担当者の目線で、業務面だけでなくプライベートのシーン訴求もあり、共感しやすい内容になっています。ツールの効果もわかりやすく紹介されています。

【マンガで解説】なぜ「RPA入れたのに残業が減らない」のか? ハマりがちな落とし穴

IBM漫画

日本IBMさんのブログで紹介されているオートメーションソリューションの紹介漫画です。画がとてもきれいです。また、ビジネス漫画にありがちな台詞のインフレーションもなく、すっきりと読みやすくなっています。もう少し詳しい情報がほしい、という方向けに導入事例への導線が貼られているあたり、上手いなと思いました。

なな転び八起のAWS開発日記

AWS漫画

アマゾンジャパンさんが提供するAWSに関するWeb連載漫画です。フルカラーで、めっちゃ画のクオリティが高いです。漫画そのものもシンプルでわかりやすく、絵柄とよくマッチしています。漫画の下には対象サービスの詳しい紹介や無料トライアルの導線が貼られています。

※番外編

沈黙のWebマーケティング

沈黙漫画

漫画ではないですが、こちらも紹介します。コンテンツマーケティングに関わる方ならご存知の方も多いのではないでしょうか。レンタルサーバーを提供するCPIさんとWeb制作会社ウェブライダーさんによる、連続Web小説です。書籍化され、Amazonのランキングで未だに上位になるぐらいの人気コンテンツです。画も厚塗りでかっこよく、ストーリーもおもしろく、しかも役に立つ!ツイッターで1万件ちかくツイートされています。ぜひ参考にしてみてください。


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漫画マーケティング活用


5.マーケティング用漫画の料金相場や納期

漫画をマーケティング施策に活用する際の、料金や納期はどれくらいでしょうか。調べるといろいろ出てきますが、私が取り組んだ例では30万~50万円ほどで、長いと2か月程かかります。もちろん、もっと安く早く済ますこともできると思います。けど、漫画家さんを自分で探してシナリオを自分で作成して、となると結構工数はかかります。

また、シナリオ作成といっても制作に慣れた人がやる場合とそうでない場合にはやっぱり差がついてしまうので、予算次第ですがプロに任せるのがよいと思います。

漫画制作のステップはだいたい下記のようなイメージです。

1.ヒアリング&素材や資料の提供

2.企画提案

3.シナリオ提案

4.ネーム提案(コマ割り)

5.線画作成

6.絵付け

7.納品

6.BtoBで漫画制作を依頼する際のポイントや注意点

次に、BtoBで漫画制作を依頼する場合のポイントを具体的にご紹介します。

・オリエンは重要

BtoBの場合、商品やサービスが難しいというのが難易度をあげる要因になります。私はソフトウェア製品だったのですが、最初はやっぱり作家さんやディレクターさんの商品理解や市場理解が足りないことがほとんどでした。なので、最初のオリエンをしっかりすることが大事になります。パンフレットや導入事例、ホワイトペーパーなど提供できる情報はどんどん提供した方がよいです。

また、これはコンテンツマーケティング全般にいえることですが、CVや成果につながるコンテンツを作るためには制作側が上記をしっかり理解しないといけません。なので、自ら情報を調べたりする意欲のある担当かどうかも見極める必要があります。

・どこまでを漫画にするのかを決める

たとえば、Amazonさんの例のようにWebページのフックとして漫画を使い、詳細は別のコンテンツに流すのか、あるいは漫画コンテンツですべて紹介するのかなどを決めておくとよいと思います。漫画では概要を伝え、導入事例や商品紹介などを後半にくっつけるというのもよいです。

ホワイトペーパーなどで部分的に漫画を使うならば、文字や図版だけでは表現しにくかったり、冗長になってしまう箇所を漫画にするとよいです。「仕組み」と「感情」を両方一度に表現できるのが漫画のよいところです。グラフだけでなくシーンにした方が効果もより伝わりやすくなります。漫画にすることでコストもかかりますので、「どこまでを漫画にするのか」は重要です。

・内容を詰め込みすぎない

シナリオ作成の段階でありがちなのが、とにかくいろいろ詰め込みたくなる症候群です。私も経験があります。愛着のある製品やサービスならなおさらです。ただ、その結果として台詞や説明がやたらと多い漫画に陥ることが多いです。ワンピースも台詞が多いことで有名ですが、あれはあの作者だからできることです。文字が多すぎる漫画は視聴コストが低いという特長を殺してしまいます。きちんとメッセージを伝えるためにも、内容はそぎ落とした方が吉です。

・ターゲットの情報ニーズと自社メッセージを明確にする

内容をそぎ落とす際に有効なのが、ターゲットの知りたい情報と自社が伝えたいメッセージを明確にすることです。なんの課題を解決し、どのような内容を訴求するのか、それがしっかりと明確に共有できていれば、情報の断捨離もしやすいです。

・漫画としても「おもしろい」こと

漫画コンテンツのよさのひとつは視聴コストの低さです。それは詰め込む内容を絞り込むことで「読みやすくする」作業になります。もうひとつ、エンゲージメントを高めるためには「おもしろさ」が重要になります。漫画のおもしろさってなんだろうとふと考えると、共感や納得感であったり、爽快感であったりします。そのあたり、実はキャラ設定や場面設定も重要になってきます。

先ほどのSmartHRさんの例では人事担当の女性の悩みを職場だけでなくプライベートまで拡張して描かれています。読者が「そうそう!あるある!」と思うような内容だったり、スカッとする内容ならより楽しんで最後まで読んでもらえ、納得感も増します。

7.導入事例マンガのご提案

さて、いかがだったでしょうか。最後はPRです。ファストマーケティングではBtoBのリード獲得施策として、導入事例マンガの制作をご提案しております。

導入事例は「成約」に近いコンテンツです。いっぽうでどうしても文字量が多くなりがちです。そこで、漫画で視聴コストを下げ、なおかつ「おもしろさ」をプラスします。

導入事例マンガのメリットをまとめると下記のとおりです。

・ストーリーだからわかりやすい

・読者が自社の課題を再認識し、共感できる

・説明が難しい商品・サービスのメリットを訴求しやすい

・導入事例をベースにするから、完全架空のストーリーよりもリアリティが出せる

・導入事例をベースにするから、新たにネタを考える手間が省ける

・業種別などターゲットに合わせた横展開も可能

・広告や展示会等、他のメディアのCTAとしても活用できる

・読み切り物も、プロジェクト型の連載型もどちらも対応可能

BtoBのマーケティング経験があるからこそ、かゆいところまで手が届きます。

ご興味のある方は、下記のサンプル漫画もぜひご覧になってください。

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