ホワイトペーパーのテーマも決まり企画案も作成したが、構成案をどう練ったらよいかわからない、委託先から提出される構成案が毎回、期待とズレていてフィードバックに手間がかかるという方向けに、ホワイトペーパーの構成案の作成方法について解説します。
ホワイトペーパーの構成案作成において重要な工程として「素材を集める」と「素材をグループ化する」という2つの工程があります。ここを丁寧にすれば、あとは肉付けしたりオリジナリティを付け加えるだけですので、自分以外のメンバーやパートナーが作成しても、それほどズレは生じないはずです。
本記事ではホワイトペーパーの構成案作成の基本的なフローやステップ、代表的な「型」や構成案作成に役立つ、ChatGPTのプロンプトまでわかりやすく解説します。
ホワイトペーパーの構成案を作成する意義と目的
はじめに、ホワイトペーパーの構成案を作成する意義と目的について解説します。主に下記の2点だと筆者は考えています。
①コスト削減になる
ここでいうコスト削減とは、構成案を内製し原稿執筆やデザインを外注した場合のコストを指します。企画や構成案から外部パートナーに入ってもらう場合より、制作コストを押さえることも可能です。
ホワイトペーパーを作成するとなると、ページ数などの仕様によりますが、15万円~50万円ほどかかります。原稿執筆だけ、デザインだけの場合、その半分以下に抑えられることが多いです。
ただし、優秀なライターやデザイナーをリクルーティングしたり、ディレクションしたりするための労力はかかります。
②アウトプットの質を担保できる
そもそも構成案とは、依頼者と受託者の間で「共通認識をつくる」ためのものです。依頼者(発注者)が明確な骨子を提供することで、原稿やデザインの初稿の精度を高められます。言い換えれば、ここがフワフワしていると初稿の精度もグラつきます。
外注パートナーのアウトプットがイマイチだと感じた際は、オリエンや企画案、構成案、つまり「インプット」を見直すのも有効です。
ホワイトペーパーの構成案を作成する4つのステップ
ホワイトペーパーの構成案を作成するステップは、大きく分けて下記の4つです。特に、前半の2つは重要です。
- 素材を集める
- 素材をグループ化し並べ替える
- テキスト以外の要素を検討する
- タイトルを決める
①素材を集める
ホワイトペーパーの構成案作成時に集めておくべき素材として、下記のようなものが挙げられます。
- サービス資料
- 商品の写真
- 営業資料
- 対象となる導入事例
- 関連する調査
- 既存の図版や比較表
- 既存のノウハウ集や研修資料
- 営業やサポート部門からの声
ホワイトペーパーの企画案が、ある程度固まっていることが前提ですが、そのうえでテーマに沿った素材をあらかじめ集めておくことで構成案作成がグッと楽になります。
関連する調査は、自社調査だけでなく行政や民間企業が公表している調査も活用できます。民間企業の調査データを使用する場合は、念のため使用可否を確認しておくとよいでしょう。
②素材をグループ化し並べ替える
集めた素材や、ホワイトペーパーに詰め込みたいトピックをグループ化し並べ替えます。その際、下記のような6つの「かたまり=部品」を意識すると整理しやすいです。
共感醸成や課題の再認識 | 前フリ、問題提起。調査データや報道資料などを通じてテーマの重要性を再認識してもらう |
課題や疑問に対する解決方法の明示 | 問題をどのように解決すべきか。また自社のサービスや商品でどのように問題が解決できるのか。機能性など。 |
解決方法に対する妥当性の明示 | 自社のサービスや商品でなぜ問題が解決できるのか。そのメリットやデメリット |
解決方法の妥当性の証明 | 導入事例や成功事例、実際の数値のシミュレーション、公的機関のお墨付きや認証など。 |
役立つツールや機能 | 一覧表や比較表、テンプレートなどそのまま業務に使える素材。 |
CTA(コンバージョンポイント) | 資料請求やセミナー、サービス紹介など。 |
ちなみに筆者がよく使うのは、下記のような流れです。
- 調査データ(共感醸成や課題の再認識)
- 課題が業務において及ぼす影響やデメリットの解説(共感醸成や課題の再認識)
- 解決方法とサービスの紹介(課題や疑問に対する解決方法の明示)
- ○○○を利用するメリット(解決方法に対する妥当性の明示)
- ○○○の導入事例(解決方法の妥当性の証明)
- ○○○の選び方と比較表(役立つツールや機能)
- サービス紹介と問い合わせ誘導(CTA)
③テキスト以外の要素を検討する
構成案作成においては図や表など、テキスト以外の要素も重要です。見やすい図解や使い勝手のよい一覧表は、ホワイトペーパーの付加価値を高めます。すでに社内に素材がある場合は、それを使わない手はありません。
テキスト以外の要素については、後でより詳しく解説します。
④タイトルを決める
タイトルは骨子がある程度固まってから決めるのをおススメします。また、構成案の段階では仮のタイトルでもかまいません。
タイトルの作成のポイントについても、後ほど詳しく解説します。
代表的なホワイトペーパーの構成案の型5選
ホワイトペーパーの構成案にはいくつか「型」があります。筆者がよく使用するのは下記のような5つの型です。それぞれ解説します。
- 1問1答型
- ステップ解説型
- 比較表型
- 事例集・ケーススタディ型
- テンプレート型
①1問1答型
ユーザーの疑問に対して1問1答形式で回答していくパターンです。法改正のポイントなどを弁護士などの専門家にインタビューし、それをホワイトペーパー化するといった例が挙げられます。
②ステップ解説型
ステップごとのフローや注意点を解説するタイプです。経費精算システムの導入ステップなど、すでに導入を検討している方向けのホワイトペーパーによく使われます。
③比較表型
特定のツールの比較表や、解決手段ごとの違いを表にまとめたものです。比較表の前後に「選び方のポイント」を設け、自社の特徴を訴求するケースも多いです。
④事例集・ケーススタディ型
単に事例集とする場合もあれば、特定業界や課題ごとにまとめるケースもあります。社名が出せない場合は、ケーススタディとして社名を出さずに紹介することもあります。
⑤テンプレート型
業務で使用できるテンプレートをまとめたものです。PPT形式だけでなく、ExcelやWord形式で提供するケースもあります。
タイトルの決め方と5つの型
ホワイトペーパーのタイトルは、メールマガジンの件名になったり、検索結果や広告のタイトルになったりと、ダウンロード件数を増やすうえで非常に重要です。タイトルもある程度の「型」を押さえておけば、それほど時間をかけずに練れます。
筆者がよく使う型は下記の5つです。
- 対象者を宣言する
- 数字を使う
- メリットを訴求する
- デメリットを訴求する
- お得感を訴求する
①対象者を宣言する
ホワイトペーパーの想定読者を宣言します。ホワイトペーパーの企画案作成時に設定したターゲットとなることが多いです。少し煽り文句をいれるのも有効です。
- 例)情シス担当者担当者の方必見!
- 例)SEO初心者の方の疑問をまるっと解決!
②数字を使う
本記事でも度々使用していますが、数字を使用するとより具体性が増します。
- 例)製造業が押さえておくべきWeb集客の方法 20選
- 例)不動産業がペーパーレスを推進するための3つの方法
③メリットを訴求する
ホワイトペーパーを読むことで、どんなメリットがあるのかを直接的に訴求します。
- 例)LPのCVRアップを実現!ページ改善手法10選
- 例)リードナーチャリングの基礎が身につく!BtoBマーケティングの教科書
④デメリットを訴求する
反対に、ホワイトペーパーを読まないことのデメリットを間接的に訴求します。
- 例)もうウェビナーで失敗したくない!刺さる登壇資料の作り方
- 例)上司にNoと言われない稟議書の作成方法
⑤お得感を訴求する
お得感、という言葉が適切かどうかわかりませんが、ホワイトペーパーの価値を短い言葉で添えるのも有効です。
- 例)2024年最新版!人事が押さえておくべき法改正のポイント
- 例)【プロンプトあり】SEOの記事構成案を5分で作成する方法
骨子以外にも重要となる図版やグラフ、表
ホワイトペーパーの構成案を作成する際、骨子だけでなくどのような図やグラフ、表を盛り込むのかをあらかじめ決めておきましょう。これらのパーツは、ホワイトペーパーの独自性と付加価値を高める働きが期待できます。
図版 | フロー図など。法律や制度のポイント、あるいはシステムの仕組みなどを解説する際などに有効。またわかりやすく図にまとめることで、視認性もよくなる。 |
グラフ | 円グラフ、棒グラフ、折れ線グラフ、積み上げ棒グラフ、散布図、バブルチャート、レーダーチャートなどがある。数字を視覚的に表現できる。 |
表 | 一覧表、比較表などがある。表にまとめることで、構成要素と構成要素の違いを把握しやすくなる。 |
イラストや漫画 | 余白を埋めるためにイラストを使うこともあるが、実はイラストに含められる情報量は多い。漫画にすることで「シーン」を端的に伝えられる。(場所、時間、関係者、関係者の感情、業務や役職) |
ホワイトペーパーの構成案作成時の注意点
ホワイトペーパーの構成案を作成する際は、下記のポイントに注意しましょう。
①ホワイトペーパーの仕様を確認する
ホワイトペーパーが縦書きか横書きか、ページ数は何ページかなど、あらかじめ仕様が決まっている場合はそれを確認するようにしましょう。
文字数も意識するとよいでしょう。構成案作成の段階で詰め込みすぎるとページ数が増えてしまい、場合によってはコストが増えてしまいます。
参考までに、PPTのポイント別の文字数の目安を記載しておきます。
- 18ポイント:最大800文字、400文字以下が無難
- 14ポイント:最大1400文字、700文字以下が無難
②次の工程を意識する
構成案は依頼者と受託者の間で、共通認識をつくるためのものです。構成案作成の次は原稿執筆やデザインです。ライターやデザイナーに業務を依頼する場合は、意図がしっかりと伝わるよう、コメントを入れたり参考となる素材をまとめておくなど、後工程を意識して進めるとスムーズです。
ホワイトペーパーの構成案はExcel?パワポ?
結論からいうと、ホワイトペーパーの構成案はExcelでもパワポでもどちらでもかまいません。要はきちんと合意形成が取れればOKです。参考までに筆者なりのメリット、デメリットを解説します。
①Excelで構成案を作成するメリットとデメリット
Excelで構成案を作成するメリットは下記の通りです。
- パワポよりも使える人が多い
- パワポよりも一覧性が高い
- デザイナーのクリエイティビティを引き出しやすい
反対にデメリットは下記の通り。
- 完成イメージがつきにくい
- 図やグラフを挿入しにくい
②パワポで構成案を作成するメリットとデメリット
いっぽう、パワポで構成案を作成するメリットは下記の通りです。
- Excelより完成イメージがわきやすい(ページネーションなど)
- スライドごとのバランスを確認できる
- 図やグラフの指示が出しやすい
デメリットとしては下記が挙げられます。
- パワポのスキルが必要
- デザイナーがパワポの構成案のイメージに引きずられる(ほぼパワポのまま初稿があがってくる)
ホワイトペーパーの構成案作成に役立つプロンプト
ホワイトペーパーの構成案作成にすぐ使えるChatGPTのプロンプトをご紹介します。とはいえ、ホワイトペーパーの企画案ができていることと、ある程度頭の中にイメージがあることが前提です。プロンプトは2段階です。
ステップ1
あなたはホワイトペーパー作成が得意なライターです。これから中小企業のマーケティング担当向けのホワイトペーパーを作成します。まずはホワイトペーパーのターゲット、ターゲットの課題、ホワイトペーパーでPRしたいサービス、ホワイトペーパーのタイトル、ホワイトペーパーの概要を読み込み、理解してください。理解出来たらOKとだけ回答してください。
#ターゲット
中小企業のマーケティング担当#ターゲットの課題
ホワイトペーパーを作成したいがコストが高い
ホワイトペーパー作成のノウハウがない#ホワイトペーパーでPRしたいサービス
ホワイトペーパー作成のための研修サービス
ノウハウがない方にもわかりやすく解説するためはじめてでも安心
ワークショップを通じてホワイトペーパー作成の理解を深められる#ホワイトペーパーのタイトル
中小企業の1人マーケ必見!ホワイトペーパー作成3つのステップ#ホワイトペーパーの概要
ホワイトペーパーの作成方法が分からない方向けに、ホワイトペーパーの作成方法を3つのステップに分けて解説したうえで、より高品質なホワイトペーパーを作成する意義を伝えホワイトペーパーの研修サービスを紹介する
ステップ2
あなたはホワイトペーパー作成が得意なライターです。次に、中小企業のマーケティング担当向けのホワイトペーパーの構成案を作成してください。その際、先ほどのターゲット、ターゲットの課題、ホワイトペーパーでPRしたいサービス、ホワイトペーパーのタイトル、ホワイトペーパーの概要を踏まえたうえで、出力条件と出力形式を守って作成してください。
#出力条件
ページ番号は1番から10番以内とする
最後のページ概要は「サービス紹介」とする
ページの内容はひとつのセル内に箇条書きで4つ~5つで端的に解説する
ページに入れ込むべき図版がグラフがあれば1つか2つ提案する
ページタイトルはページの内容を端的に20文字以内で紹介する#出力形式
|ページ番号|ページタイトル|ページの内容|ページに入れ込むべき図版やグラフ|
ただし、ChatGPTなどの生成AIは嘘をつくケースもある、ということを忘れないようにしてください。参考にしながら、人間の手でブラッシュアップすることをおススメします。
箇条書きでもよいので構成案を内製すれば効率化になる
ホワイトペーパーの構成案を丁寧に作成することで、外部委託時のコスト削減やアウトプットの質の担保につながります。ご紹介したプロンプトや型を応用すれば、構成案作成にかける時間も短縮できるはずです。ぜひお役立てください。
ちなみに余談ですが、筆者はホワイトペーパー制作などの受託制作を主な生業にしています。それなのに、ノウハウをさらけ出しているのには理由があります。日本は海外に比べデジタル化が遅れていると言われていますが、特に大企業と中小企業との間での「格差」が拡大していると実感しています。
ファストマーケティング株式会社は、コンテンツマーケティングをもっと多くの企業の方に採り入れてほしいと考えています。そのために、ノウハウは惜しみなく提供します。その先に、弊社が活躍できるステージがもっとあると考えています。
ホワイトペーパー制作やコンテンツマーケティングについて、お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
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BtoBに特化した伴走型コンテンツマーケター。残りの半生はひたすらコンテンツづくりをしようと思い立ち独立。京都出身。営業→Webディレ→SEOコンサル→事業会社でBtoBマーケ→フリーランス。特技はギター弾き語り。好きな映画はスタンドバイミー。ビッグフィッシュ。Twitterではコンテンツマーケティングや育児、日常などをつぶやいています。