リード獲得に役立つ鉄板ホワイトペーパー作成&活用入門【事例つき】

新型コロナがビジネスにさまざまな影響を与えています。ただBtoBのメールマーケティングだけは粛々と行われている印象です。私のアドレスにも毎日山のようにメールが届いています。ホワイトペーパーはメール配信でリード獲得やナーチャリングを行うためのスタンダードなコンテンツです。本記事では、私の体験をふまえ効果的なホワイトペーパーの作成方法や、マーケ施策への活用について解説します。

ホワイトペーパーとは?

ホワイトペーパー(whitepaper)は、直訳すると白書になります。政府が刊行するもののうち、経済などの実態を報告する資料を指します。BtoBマーケティングにおいてはメールマガジンなどで配信するコンテンツの形態のひとつです。インターネットで配布し、PDFで閲覧することからebook(イーブック)などと呼ぶこともあります。

私もソフトウェア会社でコンテンツマーケティングをしていたときは、毎日のようにメールを配信していましたので、ずいぶんたくさんのホワイトペーパーを制作しました。ホワイトペーパーはリードの獲得、リードナーチャリングなどに活用できます。また、ユーザーに役立つ情報を定期的に配信することで、関係性を維持(リテンション)することにも役立ちます。

営業資料やカタログ、パンフレットとホワイトペーパーが最も違う点は、下記のとおりです。

・営業資料やカタログは自社目線
・ホワイトペーパーは顧客視点と自社目線


カタログは自社商品やサービスの機能や特長を記載します。なので、「自社が伝えたいことを書く」のがメインになります。いっぽう、ホワイトペーパーは「ユーザーが知りたいことや、ユーザーの悩みを解決する」ということに主眼がおかれます。まさにコンテンツマーケティングです。

ホワイトペーパーマーケティングは正しく行えばリード獲得や売上貢献が期待できますが、いい加減にやってしまうともろ刃の剣になります。BtoBの商品選定に関わる方なら、役に立つと思って資料をダウンロードしたけれど、スカスカだったばかりかガンガン営業電話がかかってうんざりした、という経験もあるのではないでしょうか?

ホワイトペーパーマーケティングでは「さじ加減」が重要です。ここからは、私の経験談もまじえてホワイトペーパー制作の具体例を紹介していきます。やや主観的になりますが、ご容赦ください。

ホワイトペーパーの種類

ホワイトペーパーは主に下記の7種類に分けられます。

①調査レポート

業界の最新情報やトレンド、ターゲットが課題と感じているテーマなどに対し、アンケート調査を実施し配信します。たとえば、最近では「リモートワークに関する調査」や「巣ごもり消費に関する調査」などをよく見かけます(2020年4月執筆時)。調査レポートはWebやメールで配信する以外に、「プレスリリース」というコンテンツデリバリーの手法が使えます。PRTIMESなどのPRサービスを活用すれば、メディアへも転載され新規の流入が期待できます。

調査レポートを外部に委託する場合は別途調査費用が必要になりますが、最近ではセルフ型のインターネットサービスも複数提供されていますので、自社でチャレンジをしてみるのもありです。

調査PRイメージ

ちなみに、プレスリリースして転載されるとSEOでいうところの外部リンクやサイテーション獲得につながります。あくまでオプションのようなものですが。

調査レポートはどちらかというと、商品やサービスのことを知らない潜在層へ広くアプローチすることができます。ただし、その分リードの質としては「薄く」なりがちです。

②ノウハウ集

商品やサービスに関連する仕事のノウハウや考え方など、ユーザーの課題解決につながるような情報を提供します。たとえば、MAツールを提供している企業ならば「インサイドセールスにおけるMA活用の鉄測」などでしょうか。メールやWebで配信したり、最近はSNS広告などでも見かけることが増えています。

ノウハウ集は潜在層にも顕在層(商品検討層)にもアプローチできます。テーマの選び方によって、商品購入までの距離は変わりますので、どの層を意識した内容にするのかを検討しておく必要があります。

サブスクリプション型でサービスを提供しているなら、商品の活用法とセットにしてカスタマーサクセス用コンテンツとしても使えます。

③導入事例

自社の商品やサービスを導入してくれた企業を取材し、記事に仕立てます。Webだけに掲載しているケースや紙だけで配布しているケースがありますが、両方で展開するとよいです。たとえば、Webでは前半だけを掲載し、詳細はダウンロードという形でもいいです。BtoBは検討期間が長く、意思決定者も複数いるので、導入事例が稟議フローやコンペの中で回覧されることも少なくありません。

導入事例は顕在層向けのコンテンツです。業種や従業員規模などを意識しながら、戦略的に制作していくと効果的です。

④比較表

BtoBのコンテンツマーケティングをしていると、サジェストキーワードに頻繁に表示されるのが「比較」というキーワード。インターネットの普及で比較もしやすくなりましたが、やっぱり手間です。わかりやすい比較表はニーズの高いコンテンツといえます。当然ながら、比較表をダウンロードしたということは具体的に商品を検討している顕在層になります。

比較の際は、なるべくフラットにしたほうがいいといわれていますが、個人的にはぶっちゃけ間違ったことをいわなければよいと思います。ダウンロードするほうも、ベンダーが作成した比較表は多少のバイアス(先入観)があると認識していると思います。

⑤チェックシート

比較表と似ていますが、チェックシートを提供することでユーザーへアクションを促すことができます。たとえば「SFAをリプレースする前に確認すべき10のこと」のように、導入検討の際に役立つ情報としてチェックシート形式で提供すれば、導入しようかどうか迷っている層に行動喚起できます。

チェックシートもどちらかというと顕在層です。チェックシートのコンテンツ企画をする際には、商品やサービスの導入フローを具体的に想像すると作りやすいです。ユーザーがつまずきそうなところに手を差し伸べるイメージですね。

⑥技術情報

商品やサービスのくわしい技術資料も具体的に検討している層にアプローチできるコンテンツです。通常は営業段階で提示することも多いかもしれませんが、Webサイトへ掲載しておかない手はありません。もちろん、開示できる内容に限りますが。商品仕様をくわしく知りたいというユーザーはかなり濃い層といえます。

⑦マンガ

最近ではBtoBでも漫画をコンテンツマーケティングに活用する企業が増えてきました。私もそのひとりです。Webや広告、メールや展示会などほとんどのシーンで利用でき、内容次第で潜在層にも顕在層にもアプローチできます。海外ではどうかわからないのですが、日本は漫画大国なので今後さらに伸びるかもしれませんね。

BtoBの漫画活用についてはこちらでも紹介しているので参考にしてください。

ただし、漫画制作にはノウハウがいりますしここまで紹介したコンテンツと比べるとコストは高くなる傾向にあります。

これらのコンテンツは複合的に活用することもできます。たとえば、一度プレスリリースで配信した調査レポートを、ノウハウ集での問題提起として活用したり、導入事例の内容をマンガ化したりといった具合です。ひとつぶで二度三度おいしい、という使い方ができれば、費用対効果もあがります。

コンテンツマーケイメージ


ホワイトペーパー作成のステップ

序盤にホワイトペーパーは「さじ加減」といいましたが、ここからはホワイトペーパーを作成する際のプロセスにあわせて、そのポイントを紹介します。

①ターゲットを明確にする

まずは商品やサービスのターゲットを明確にします。この際に軸として考えられるのは下記のようなものです。

・部署
・役職
・従業員規模
・業種

次に、購買プロセスを定義してみます。一般的なパーチェスファネルだと下記のような感じです。

・認知
・興味、関心
・比較、検討
・購入

ちなみに私は下記のように定義していました。

・課題を認識していない
・課題を認識しているが解決方法は認知していない
・ITツールで課題を解決しようとしている
・ITツールを比較している

要は、これらはセグメントです。商品やサービスによっても異なるので、自社ならばどうなのか、を一度整理してみるとよいと思います。ターゲットと購買プロセスを定義できたらそれをマトリクスにします。

②ターゲットの情報ニーズを整理する

ターゲットと購買プロセスを元にマトリクスを作成したら、それぞれのターゲットセグメントがほしいと思う情報やテーマを記入していきます。ホワイトボードに付箋を貼りつけながら行ってもかまいません。

たとえば、MA(マーケティングオートメーション)ツールを提供している企業だと下記のようなイメージでしょうか。

コンテンツマトリクス


③ホワイトペーパーの種別を決める

ターゲットがほしいと思う情報を整理できたら、ホワイトペーパーの型を選びます。導入事例や比較表などある程度、情報の内容によって型が決まるものもあります。マンガやノウハウ集などは内容次第でどのセグメントにもアプローチできますので、予算や過去の実績などを参考に決めるとよいでしょう。

とはいえ、なかなか予算も工数もないという場合は作成するコンテンツを取捨選択しなければなりません。この場合は、セグメントで決めますが、購買により近い層、先の例でいえば「MAツール比較層」向けのコンテンツから作成するほうが最もよいでしょう。

一般的なパーチェスファネルは上から下ですが、コンテンツ制作においては下から上がよいです。

ここから先の工程は、ノウハウ集を決めたという体で進めていきます。

④テーマやタイトルを決める

ターゲットのセグメントやホワイトペーパーの型を決めたら、具体的なテーマやそのタイトルを決めます。基本的には見込み顧客へどのような解決策を提示するのが効果的か、という観点から考えましょう。世の中の旬な話題と掛け合わせるのもよいです。たとえば、働き方改革や生産性向上、あと最近はDX(デジタルトランスフォーメーション)とかでしょうか。

ちなみに、私の場合はいきなりタイトルから考えることが多いです。後述しますが、タイトルはかなり重要なので。

⑤構成案を作成する

テーマやタイトルを決めたあとは構成案を作成します。いきなり書き始めるのはよっぽどライティング慣れしている人でも難しいです。ワードやメモ帳に箇条書きでもよいので、見出しをおいてみましょう。次に、その段落で伝えたいことを箇条書きでまとめていきます。ひととおり埋められたら、俯瞰してみてちゃんとオチがあるか、メッセージが込められているかを確認しましょう。

ここまでできたら、あとは自分で執筆してもいいですし、外部のライターさんに依頼してもよいです。外部のライターさんに依頼する際には、ここまでで集めた参考資料や導入事例などの参考情報をまとめて渡すと内容に相違もうまれにくいです。

⑥執筆する

文章作成が得意な人なら、自分で執筆するのもありです。ライティングのコツはインターネットや書籍でも勉強できますが、いくつか簡単に紹介します。

・SDS法

SDSは「Summary・Details・Summary」の略だそうです。まず、全体の要約を説明し、次に詳細、最後にまとめという流れです。私はセミナーに登壇する際の資料作りにこれを応用していました。たとえば章ごとにまとめを入れてあげることでより、内容が伝わりやすくなります。

・PREP法

PREPは「Point ・ Reason ・ Example ・ Point」の略です。結論ファーストですね。最初に結論を述べ、その理由、具体例、最後にまとめといった感じです。具体例を入れてあげると読者の共感醸成を得やすいですし、内容も理解しやすいです。

・5パラグラフの法則

5パラグラフとは「イントロ・問題提起・解決策・製品情報・結論」になります。これも一般的な方法です。もう少しアレンジするならば、6パラグラフで「製品情報」の前に具体例を入れてあげるパターンですね。

・ストーリーテリング

ストーリーテリングとは要は単にファクトを並べるだけでなく、読者が感情移入できるような内容を意識するということです。体験談にするとか時系列にするとかいうのは枝葉の手法です。コンテンツマーケティングは慈善活動ではありません。役立ち情報を伝えつつ、最終的には「よし、やってみよう」という態度変容を起こせないと意味はありません。

何も難しく考える必要はなくて、問題的の部分で「うんうん、あるある」、解決策で「なるほど!確かに」、具体例の際にできるだけ「自分事化」してもらえれば、後押しになります。自社にしかいえないことはきっとどんな企業にもあります。それって、ストーリーテリングの種(シード)だと私は思います。

⑦デザインする

最近のパワポはずいぶん美しい資料が作れるようになってきました。印刷所への入稿もパワポでできるようになってきています。なので、無理にデザインソフトを使う必要はないと思います。コストを抑えつつ、きれいなデザインにしたいならば、表紙だけ画像素材を購入するというやり方もありです。フラットデザインの素材が安く提供されています。ちなみに、このWebサイトのロゴはパワポで作成しました(笑)。

インフォグラフィックを使用するのもいいですが、個人的にはあまりお勧めしません。下手に作るとかえって理解するのに労力が必要になってしまうので。なるべくシンプルな図やグラフ、表などユーザーが見慣れている形式にしてあげるとよいと思います。

パワポでもそれなりに美しいデザインを作れますが、文章多めのホワイトペーパーならデザインソフトを使用したほうが、段組みなどが柔軟にできるので、ユーザーにとって読みやすい資料になると思います。


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リード獲得ホワイトペーパー


ホワイトペーパーの鉄板構成

さて、ここからは私がよく活用していたホワイトペーパーの鉄板構成をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

①表紙・タイトル

表紙とタイトルはCVRにものすごく影響します。たとえば、メール配信でユーザーが資料をダウンロードするプロセスを見てみると下記のようになります。

・メールのタイトルを見て開封するかどうかを決める
・メールの本文を見てURLをクリックするかどうかを決める
・URLをクリックして飛んだLPを見てDLするかどうかを決める

ここまで、ユーザーが接触しているのはほぼ、タイトルと表紙です。大量に送付されるメール本文ってぶっちゃけあまり読まれていないので、どれだけ重要かおわかりいただけると思います。

タイトルを検討する際には、ターゲットに刺さるかどうかを考えましょう。SFAツールの場合を例にすると下記のようなイメージです。

例1:【営業改革】SFA導入6つの「型」を知ることで利用効果を最大化!
~チェックシート付き~

この場合は、DLすることによって何が得られるのかを明確にしています。また、数字を使うことでよりイメージが具体的になります。

例2:【営業力強化】新人の営業力を爆速で高める3つの鉄板ノウハウ

フレーズに力を込めるとインパクトが強くなります。この場合、「爆速」や「鉄板」といったフレーズです。また、ノウハウ、ポイント、ガイドなどは使いやすくかつイメージしやすいフレーズです。

私はネタに困ったら、Amazonや書店で書籍のタイトルを見て参考にしています。

②目次

次に目次ですが、ないよりはあったほうがよいです。表紙に目次を記載しておけばコンテンツの内容を伝えることもできます。実用的にするならば、PDFのページ内リンクを張っておくと親切です。

③課題提起

課題提起の役割はターゲットの共感を得て、「自分ごと化」してもらうことです。調査結果などのエビデンスを使うとさらに効果的です。調査結果は官公庁が出しているものや他社が出しているものを使ってもいいですが、ぴったりはまるものを探すのは手間なので、自社で調査するのも手です。あらかじめ調査レポートなどを作成する際に、他コンテンツでの横展開も視野に入れておくとよいでしょう。

④解決策の提示

提起した課題に呼応させた解決策を提示します。ここでも調査結果を使うと信ぴょう性が増します。また、ホワイトペーパーは顧客視点で作成しますが、ここは自社のセールスポイントと紐づけるべきパートです。自社サービスでできないことを提示してもあまり意味はありません。

たとえば、カスタマイズが売りの製品と、手厚いコンサルティングが売りのサービスでは話の持っていき方もだいぶ変わります。下記のようなイメージでしょうか。

例1:カスタマイズが売りの場合
→SFAが定着しないという課題に対し
→自社の営業手法や規模、カルチャーに柔軟に対応できるシステムを選ぼう

例2:コンサルが売りの場合
→SFAが定着しないという課題に対し
→導入後のフォローやコンサルティングをしっかりしてくれるシステムを選ぼう

解決策の提示では、商談時のクロージングを意識するとよいでしょう。営業担当にアドバイスをもらうのもよいと思います。

⑤具体的事例の紹介

私の場合は、さらに納得感やお得感を醸成するために解決策に呼応した導入事例を掲載していました。導入事例がない場合は、具体的なシーンとして架空のストーリーを展開してもいいかもしれません。大事なのは具体的な成功イメージを持ってもらうことです。

⑥商品紹介

商品紹介はカタログやパンフレットの素材を流用することも多いですが、できればここもホワイトペーパーのテーマや課題、訴求内容とあわせて出し分けするとさらに効果的です。

⑦CTA

ホワイトペーパーの最後にはURLやメールアドレス、電話番号などのCTA(コールトゥアクション)を設けます。もし、自社でセミナーなどを開催している場合はその申し込みページへのリンクも忘れずに設けておきましょう。ホワイトペーパーは印刷されることもありますが、たいていは画面でPDFとして見ています。態度変容した見込み客がすぐにアクションできるような導線(リンク)を確保しましょう。

制作したホワイトペーパーの活用法

そこそこ手間も費用もかかるホワイトペーパー。せっかくならば、単発で終わらせずにいろいろな場所で活用しましょう。そうすることで費用対効果もよくなります。

①自社WebのCTAとして

自社WebサイトのCTA(CVポイント)として設置すれば、自然検索でたどり着いたユーザーのCVRをアップさせることが可能です。

②オウンドメディアのCTAとして

コーポレートサイト以外にも、ブログやオウンドメディアを構築している企業も増えてきています。それらのWebサイトにもCVポイントとして設置しておくといいでしょう。

③メール配信時のDLコンテンツとして

スタンダードですが、メール配信時のDLコンテンツとしてホワイトペーパーは活用できます。Webで反応がよかったものを、しばらくしてから再度配信するという手もあります。とにかく有効なコンテンツはこすりましょう。

④Web広告やSNS広告のDLコンテンツとして

リスティング広告やSNS広告用のDLコンテンツとしても活用できます。ディスプレイ広告やSNSの場合は潜在層ですので、ノウハウ集や調査レポートなどをバナーに活用するとCV数を稼げます。

⑤セミナーや展示会などの配布物として

何もオンラインだけとは限りません。幕張メッセやビッグサイトなどで開催されるイベントの配布物としても活用できます。展示会では具体的に商品を検討している顕在層が多いので、導入事例などが有効活用できるでしょう。

自社セミナーや共催セミナーを実施する際の配布資料として同梱するのもお勧めです。最近は少量短納期のネット印刷も増えているので入稿用のデータを常備しておくとよいでしょう。

⑥外部の資料ダウンロードサイトへの配信

Webサイトの流入数が少なく、自社のメール配信リストも少ない場合は外部の資料ダウンロードサイトへ配信するがいいでしょう。ITmediaやマーケメディアといった資料ダウンロードサイトには数百万規模でユーザーを抱えているメディアもあるので、別途配信量はかかりますが、一定数のリード獲得につながります。

メール配信での成果を最大化する

ホワイトペーパー作成のポイントでタイトルが重要と書きましたが、メールでも同様です。ホワイトペーパーの内容と呼応させ、ユーザーに刺さるタイトルを考えましょう。コツは自分自身に一度メールを送ってみることです。内容は空でかまいません。受信トレイに並んだときにどう映るか、つまりユーザーにはどう映るかという視点で作成してみるとよいでしょう。

メール配信で成果を最大化するために、私が心がけていたのは「チラ見せ」です。メールタイトルや本文を読んだだけで内容やオチが見えてしまえば、あえてDLしようとは思わないでしょう。メリットを伝えつつも、オチまでは伝えないという「さじ加減」が重要です。たとえば、ホワイトペーパーのタイトルを十分練っているのならば、それをメールの件名に、内容は目次を箇条書きにさらっと、でも十分CVは得られるでしょう。

例:

件名:「BIツール導入完全ガイド」を無料で提供いたします!

〇〇様
いつも当社のメールマガジンをご覧いただきありがとうございます。
昨今、データを経営に活用するためにBIツールを導入する企業が増えています。
とはいえ、どのように導入したらよいかわからない、という声も多数いただいております。

そこで、「BIツール導入完全ガイド」を無料でご提供いたします。

目次:
1.BIツールとは
2.BIツールの具体的な機能は?
3.BIツールの具体的な利用シーンは?
4.BIツールの分析事例
5.BIツールの比較表
6.BIツール選びで失敗しない3つのこと
7.BIツールの成功事例

ぜひ、お役立てください。下記のURLからDLいただけます。

ここでひとつ注意点ですが、ユーザーは「メール慣れ」していることが多いと思いましょう。過度な「釣り」は逆効果です。そのためにも自分自身にメールを送信してみることをお勧めします。えてして、マーケターは獲得を狙うばかりにユーザー視点を忘れがちですので。これは自戒の意味で、ですが。

MAやリードナーチャリングとホワイトペーパー

最近はリード獲得施策を支援するツールとしてMA(マーケティングオートメーション)ツールを導入する企業も増えています。Marketo(マルケト)やPardot(パードット)、SATORIなどです。いわゆるリードナーチャリングというやつですが、ホワイトペーパーはMAやCRMでも活用できます。

簡単にMAの仕組みを紹介すると、ユーザーをダウンロードした資料や閲覧したWebコンテンツなどでスコアリングしたり、フラグ立てをすることができるというものです。たとえば、下記のような場合だとメールを開封した人は1点、開封してURLをクリックした人は合計5点、なおかつ商品カタログをDLした人は10点です。

メール開封1点
URLクリック4点
カタログDL5点



ここで、スコアが10点の人には特別なセミナーへのオファーメールを配信するとか、5点の人には導入事例などより商品訴求が強いホワイトペーパーを送るといった使い方ができます。また、こうしたメールのルールを「シナリオ」としてツールに設定しておくと、スコアに達した時点で自動的にメールを配信することも可能です。

とはいえ、個人的にはあんまり複雑なセグメントやメールシナリオを練るのはお勧めしません。施策のスピード感も落ちますし、ぶっちゃけメールってタイミングが重要だと思うので。ホワイトペーパーマーケティングでMAを使うならば、DL時に営業がコールするホワイトペーパー(=ホットリード)とマーケ側でそのまま引き取るもの(=コールドリード)を定義しておくぐらいでもよいと思います。

MAはシナリオやセグメントのロジックよりも「継続性」だと思います。商品を導入するかは、担当個人で決める話ではなく会社や組織としての流れみたいなものがあって、そこではじめて顕在化することが多いので。一度つながったユーザーと継続的にコミュニケーションをとるためには、コンテンツの質も重要です。不思議と、よいホワイトペーパーよりもがっかりしたホワイトペーパーのほうが印象に残ります。

ホワイトペーパー制作の相場や外注時のポイント

コンテンツの質と継続性を担保するには、外部委託の体制を整えることも有効です。ただしコストもかかりますし、出し戻しなどもかかるので、完全にノータッチというワケにはいきません。

ホワイトペーパーの相場は15万円~50万円と幅広いです。ボリュームも安いものだと表紙や最後のCTA含めて4ページとかですが、そのページ数に落とし込むのが逆に難しく単なるチラシっぽくなるのでお勧めしません。とはいえ20ページを超えるようなものは読むのも大変なので、10ページ~15ページぐらいが妥当ではないでしょうか。

外部委託する場合は別の記事(マンガの記事)で書いたかもしれませんが、ヒアリングやオリエンテーションはとても重要です。ライター側の商材理解によって、質はもちろんホワイトペーパー制作時の工数も大きく変わります。結果、ほとんど自分がリライトしてるじゃん!とならないためにも、提供できる情報は渡し、しっかり内容についてすり合わせを行いましょう。

通常は、ヒアリングのあとに「構成案」を提出されるので、意図した内容になっているか確認しましょう。構成案の段階で具体的な内容がイメージできないページなどがあれば、遠慮せず質問しましょう。互いの認識のずれをなくすことが重要になります。

外部委託を行った際には、内容をライターにフィードバックするとともに、「レギュレーション」として自社に残しておくようにしましょう。次回以降の作業を効率化することができます。

巷で見つけたホワイトペーパーの好事例

ここでは、私がインターネットなどで見つけて参考になると思ったホワイトペーパーをいくつか紹介します。

※いずれも閲覧には個人情報の入力が必要です。

①SATORI株式会社

SATORIホワイトペーパー

MAツールを提供するSATORIさんはホワイトペーパーにも力を入れていて、課題などのテーマごとに30近いコンテンツを掲載しています。タイプも漫画や調査レポート、比較表など多岐にわたります。特に、「これからのマーケティングに欠かせない匿名ナーチャリング3つのステップ」はなぜMAが必要なのか、彼らが提唱する「匿名マーケティング」がなぜ有効なのか、ということについてわかりやすく書かれているのでお勧めです。

②タブローソフトウェア

タブローホワイトペーパー

BIツールを提供するタブロー社も多くのホワイトペーパーを提供しています。BIをマーケティングに活用するための実践的な内容が書かれており、特に私が驚いたのはダッシュボードへのリンクが張られている点です。ホワイトペーパーにあるリンクからグラフィカルで興味深いダッシュボードを見ることができるので、利用促進につなげられるのと思いました。

③セールスフォース

セールスフォースebook

営業支援ツールを提供するセールスフォース社のホワイトペーパーはとても実践的で示唆に富んでいます。私が勉強になると思ったのは「営業力強化塾“安易な値引き”と“無駄な失注”をなくす3つの質問」というホワイトペーパーです。まず、タイトルがいいですね。営業マネージャーなら「お?」と思います。LPの見せ方もいい感じに「チラ見せ」になっています。

もともとホワイトペーパーマーケティングは海外で盛んになったので、外資系企業の例は参考になります。いずれも、質が高く一定のバリエーションを展開していることが特徴です。

ホワイトペーパーの効果を最大化するために

ホワイトペーパーはコンテンツマーケティングの手法のひとつです。コンテンツマーケティングについてはまた別の機会に開設できればと思いますが、それは決して見込み客を「欺く」ための手法ではありません。タイトルだけで釣って中身がスカスカのコンテンツはその最たる例といえます。また、売り込みたい気持ちを隠す必要もありません。

ユーザーにとって有益な情報を提供し、そのうえで「態度変容」を促すことがホワイトペーパーを制作する目的です。そのためには下記が重要になります。

・目的の明確化
・ターゲットセグメントと情報ニーズの把握
・自社メッセージの明確化

要は誰に、何を、何のために伝えたいのかということをぼやかしたまま進めないようにしましょう。

そして、継続することは重要です。特に、メールマーケティングでは定期的なコンタクトをとることで見込み顧客の「マイクロモーメント(ほしい瞬間)」を逃さずキャッチできます。MAツールでユーザーの行動を見える化するのも有効です。

ホワイトペーパー制作ならファストマーケティング

ファストマーケティングはBtoBに特化した伴走型コンテンツマーケティング支援を行っています。未経験の領域については自ら書籍などの一次情報で予習のうえ、ヒアリングにうかがいます(またはオンラインにて)。制作する標準的なホワイトペーパーの仕様は下記のとおりです。

サイズ:A4/カラー
ページ数:10ページ(表紙を除く)
料金:初回 330,000円、二回目以降250,000円(税別)

お見積りのご依頼やご相談はお気軽にどうぞ。サンプルのホワイトペーパーをご用意いたしましたので、ぜひご参考ください。


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リード獲得ホワイトペーパー

調査PRをBtoBマーケティングに活用する方法とリリースのコツ【事例あり】

新型コロナに関する調査リリースが増えています。直近ではジャストシステム社がリモートワークに関する調査を発表しました。BtoC、BtoB問わず大きな関心ごとだということでしょう。私は事業会社にて累計500本以上の調査PR、それもリード獲得施策としての調査を行ってきました。本記事では、これまでの経験をもとにBtoBのリード獲得施策という観点から、調査PRについて解説していきます。

調査PR(プレスリリース)とは

PRとはプレス・リリースの略です。そして調査PRはとアンケート調査などの調査結果を、プレスリリースで配信することです。BtoBマーケティングでも活用されるシーンが増えてきたように思います。企業が自主的に調査を行い発表するので「自主調査」と呼んだりもします。

通常、PRは新商品やサービスあるいはキャンペーンの告知で行うことが多いのですが、調査PRならでは効果が期待できます。よく言われるのは「空気感の醸成」です。たとえば、「リモートワークは企業の生産性を高める」といったアンケート結果を発表し、それがさまざまなメディアで取り上げられれば、「リモートワークの必要性」という一種のムード作りができます。クラウドのITツールを提供する企業などは現にそのような調査をバンバン出しています。

調査PRの効果について、もうひとつ言われるのは「直接的なマーケティング効果は期待できない」という話です。ですが、BtoBに限れば実はそんなことはありません。なぜなら、「調査レポート」というものはコンテンツであり、それ自体がさまざまな形のコンテンツマーケティングに活かせるからです。

事実、私も事業会社でBtoB商材のマーケティングを行っていた際には、自主調査だけで年間6,000件以上のリードを生み出していました。

というワケで今回の記事では、私の体験談もまじえながら、調査PRについてコンテンツマーケティング的視点で詳しく解説していきたいと思います。

調査PRのメリット

上述のとおり、調査PRはBtoBのリード獲得に活かせます。具体的にどのようなメカニズムでそれが効いてくるのか、もう少し詳しく解説します。

・メディア掲載による認知拡大

調査PRは通常、プレスリリースがセットになります。自社の広報が行うこともあれば、PRTIMESなどのプレスリリース配信ツールなどを利用するケースもあります。リリースを行うことで、関連メディアに掲載され露出が増えます。さらに大手メディアの中にはヤフーやスマートニュースなどのニュースサイトと連携しているものもあり、そこに転載されるとさらに露出が増えます。

調査PRイメージ


・新規リードの獲得

露出が増えることで、自社サイトへの流入が増加します。メディアから直接リンクが張られることもありますし、社名検索等で引っかかってくることもあります。私の場合はレポートを閲覧するために、個人情報の入力フォームを設けていました。調査レポートを見たい、というターゲットが自社サイトに流入し、ダウンロードフォームに入力することでリード獲得ができます。

・メール配信等、各種コンマケ施策への二次利用

さらに、プレスリリースをしたあとのコンテンツは自社リストへのメール配信にも使えます。また、外部メディアや資料ダウンロードポータルに掲載すれば、そこでまた新たなリードを獲得することができます。コンテンツは、一度配信して終わりではなく、さまざまなチャネルで使い倒すと費用対効果もよくなります。

・外部リンク獲得、サイテーションの獲得

メディアに調査PRが掲載され、自社サイトにリンクが張られると外部リンクの獲得につながります。質のよい外部リンクはSEO対策になります。また、少し難しい概念ですがSEOにはサイテーションというものがあります。リンクが張られていなくても、記事が掲載され自社名が紹介されることで被リンクに似た効果を得ることができます。まあ、副次的な効果ですので、過度な期待はできませんが。

・ソートリーダーシップの獲得(権威性)

定期的に調査PRを行うことで、特定ジャンルでの権威性(=ソートリーダーシップ)を獲得できることもあります。たとえば、最新のSNS利用率を見るならここ、といった具合です。同じ調査を定期的に行う「定点調査」を実施すれば、月次や年次で推移を比較することもできるので、より「引き」のあるタイトルが作成できます。

たとえば、「人材マネジメントツール」を提供する企業の場合はこんな調査が考えられます。

例:働き方改革と人事部門の業務負荷に関する調査

このようなテーマのタイトルで調査を実施し、PRを行うことによって「人事部門」つまり見込み顧客のリード獲得につなげることができます。テーマやタイトル次第にはなりますが、TVなどのマスメディアで調査が取り上げられるケースもあります。

私の場合は調査リリースを毎週配信することで1リリースあたり200件から多いときで500件以上のリードを獲得していました。中には「ヤフートピックス(ヤフトピ)」に掲載され、一時的にWebサイトの流入が爆増した例もあります。ただし、消費者向けメディアから大量の流入があったとしても、BtoBのリード獲得に直結するわけではありませんので、あえてそこを狙う必要はありません。

調査PRの事例

では、具体的にどんな調査がPRとして配信されているのか、事例をいくつか紹介します。PRTIMESなどで「調査」と検索するとたくさん出てきます。コンテンツマーケティングで参考になりそうなものをピックアップしましたので、参考にしてください。

①リモートワーク経験者2割、制度の有無がその会社で働くことを選ぶ決め手にも[ジャストシステム調査]

ジャストシステム調査PR

毎週のように自主調査を発表しているジャストシステムさんのリモワに関する調査です。リモートワークの制度があるかないかが「働く決め手になるか」というタイトルはなかなかエッヂが効いています。企業の人事、経営企画、人材会社などのリードがとれそうですね。CTAは資料DLフォームとなっています。

②新型コロナで機会が奪われる就活は「会社説明会」 =マイナビ調査=

マイナビ調査

マイナビさんの調査です。こちらも人材系なので、企業の人事担当(特に新卒担当)が興味を持ちそうなテーマです。運営する「新卒採用サポネット」への導線となっており、そこでは他にもさまざまなお役立ち資料を閲覧することができます。

③【Backlog総研/調査リリース】IT業界テレワークの導入率、緊急事態宣言を機に85%に増加。捺印業務の簡素化やペーパレス、セキュリティ面の見直し等が進み利用率も向上。

バックログ調査

コラボレーションツールを提供するヌーラボさんの調査です。Backlogというツールを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?「IT業界」と業界セグメントを切っているところが、コラボレーションツールを提供する同社らしいところですね。導入事例等への導線がおかれています。ちなみに導入事例はかなりがっつり紹介されているのでとっても参考になります。

④キャッシュレス決済の利用割合は現金より上回っている!? 「激動のスマホ決済の今がわかる調査」

MMD調査

モバイルに関する日本最大級の調査期間であるMMD研究所さんのリリースです。2019年の消費増税からキャッシュレス決済の利用は増加し、コロナ禍においてさらにそれが加速しました。独自の切り口で詳細な分析が行われています。調査データの詳細は会員登録をすることで閲覧できるようになっています。

⑤BtoBマーケティング担当者の6割がオウンドメディアに対して前向き、3割が開始から1年で成果を実感したと回答

Basic調査

マーケター向けメディア「ferret」を運営するベーシックさんがオウンドメディアに対する調査リリースです。結構、いろんなブログやセミナーなどで引用されており、ブランディングにつながっています。

⑥【マーケティング人材に関する調査】9割以上のマーケターが社内の人材不足を実感

株式会社BLAM

BLAM調査

副業マッチングサイト「カイコク」を運営しているBLAMさんの調査です。タイトル以外にもおもしろい結果が出ていて、「こんなコンサルはいやだ」とか「こんな顧客はいやだ」的なあるあるネタもあります。営業資料にも使えるんじゃないでしょうか。

事例からおわかりいただけるかと思いますが、各企業とも自社の事業ドメインやターゲットを強く意識した調査を行っています。CTAや導線は企業によってまちまちです。資料DLフォームなど、必ずしも直接的なCTAを設ける必要はありませんが、どれくらい効果があったのかを振り返るためにも、何かしらのKPIは設けた方がよいでしょう。

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BtoBマーケティングの現状調査


調査PRのやり方、進め方

調査PRのイメージがわいたところで、具体的な手順を紹介します。必ずしもこの手順でなくてもいいですが、勘所は押さえておくと効果的な調査PRが行えます。

①ターゲットを決める

事例を見ていただいたとおり、まずはターゲットを明確にしましょう。コンテンツマーケティングで最も重要なパートです。業種、部署、役職、年齢などその調査で具体的に狙いたいターゲット像を決めます。ホワイトペーパーの作成方法の記事でも触れていますのでそちらも参考にしてみてください。

②仮説を立て、テーマやタイトルイメージを決める

ターゲットを決めたら、次にテーマやタイトルを決めます。私は先にタイトルから入っていました。一般的な市場調査と異なり、コンテンツマーケティングのひとつですので、ターゲットの興味関心を得られそうなタイトルを検討します。

③トピックスのイメージを決める

具体的にどのような結果が出るのかという仮説をもとに、「想定トピックス」を考えます。つまりその調査でどんなメッセージを伝えたいかということです。トピックスをもとに調査設計を行いますので、とても重要です。

たとえば下記のようなイメージです。具体的な数値も入れるとなおいいでしょう。

例1:リモートワークでのストレス、1位は「ネットワークの遅さ」

例2:ネットワークが遅い原因、半数以上が「よくわからない」

④設問案を作成する

トピックスの内容をもとに、設問案を決めます。トピックスは「何を伝えたいか」ですが、設問案は「どう聞くか」です。たとえば上述のトピックスをアンケートの結果として出したいなら、下記のような設問が必要になります。

Q1.リモートワークを行っているか

Q2.リモートワークでストレスを感じているか

Q3.リモートワークでストレスを感じる理由は何か

Q4.ネットワークが遅い原因は何か

⑤調査票を作成する

設問案まできたら、あとは調査票の設計です。設問の種類にはいくつかありますが、あまり複雑に考えずなるべくシンプルな調査票設計を心がけると、スムーズです。最低限押さえておきたい設問の種類は下記の2種類です。

SA:シングルアンサー。複数の選択肢からひとつだけ選ぶタイプ。

MA:マルチアンサー。複数の選択肢から複数を選ぶタイプ。

上述の設問案を調査票におこすとすると、下記のようになります。

Q2:タイプ/SA
設問文:あなたはリモートワーク環境下で業務を行う際に、ストレスを感じたことがありますか?

選択肢:ある/ない

Q3:タイプ/MA

設問文:あなたがリモートワーク環境下での業務にストレスを感じる理由であてはまるものをお選びください。

選択肢:ネットワークが遅い/コミュニケーションがとりづらい/ツールの使い方がわからないetc…

Q2はシングルアンサーで、Q3はマルチアンサーになっています。誰に何を伝えたいのか、が明確になっていないと設問文と選択肢が作れませんので、上流工程はやはり重要です。

⑥アンケートを配信する

調査票ができたら、対象者にアンケートを配信します。最近はインターネットを使って簡単にアンケートができるようになりました。アンケートモニタを活用すれば早ければ1日ぐらいで結果があつまるときもあります。

⑦集計、分析を行う

アンケートの回収が終わったら、結果を集計し分析します。ほとんどのインターネットリサーチでは集計ツールがついていますので、簡単に集計することができ、グラフも自動的に出力できます。もちろん、軸を変えたアドホックなクロス集計も簡単です。

⑧リリース文を作成する

集計結果をもとに、リリース文を作成します。リリースの書式などは他社のプレスリリースを参考にしてもかまいません。基本的には、日付、タイトル、トピックス、調査概要(対象、調査期間、調査手法)、問い合わせ先が入っていれば問題ありません。

⑨リリースする

リリース文を作成したらいよいよ調査をプレスリリース配信します。プレスリリースは広報などが持っているリストに送付することもできますが、PRTIMESなどのプレスリリースツールを使うと、より多くの記者にリーチできるので効果的です。

⑩結果を分析する

調査PRを配信したら、必ず結果を分析しましょう。BtoBマーケティングで行う場合は、下記のような指標になります。

・記事掲載数

・Web流入数

・リード獲得件数

・リードの訪問率など営業指標

ちなみに、配信スケジュールについてですが、私は下記のようなサイクルで回していました。毎週やっていたので、同時進行です。

1週目:

月曜:調査テーマ検討MTG(編集会議)

火曜:調査票設計

水曜:調査配信開始

2週目:

月曜:集計、リリース文、レポート作成

火曜:社内チェック

水曜:プレスリリース

月曜日は休み明けでたくさんのメールに埋もれてしまうので、避けました。また、金曜日は記者にリーチできたとしても掲載が翌週以降になるか後回しにされるので、優先順位を下げていました。なので、基本的に火曜~木曜のなるべく午前中に配信しました。午後でもいいのですが、午前中だと最速当日中にメディア掲載される可能性もあります。

調査PR、リリース作成のコツ

私はこれまで500本以上の調査リリースを実施してきました。その体験の中で得られたコツをいくつかご紹介します。

①メディアを意識する(コンテンツデリバリー)

調査PRを施策として実施する際には、獲得したいリードをターゲットとして想定します。しかし、もうひとつ抑えなければならないターゲットが存在します。それが「メディア」です。自社に十分なメールプール(メール配信先)があったり、SNSのフォロワーがたくさんいる場合はあまり必要ないかもしれませんが、調査PRはメディア掲載によって流入が生まれます。

コンテンツマーケティングって作成して終わりではなく、その後の配信方法、つまり「コンテンツデリバリー」を常に意識しなければいけません。私の場合は自社広報、PRTIMES、メール、オウンドメディア、SNSとあらゆるチャネルに投稿しました。

その中でも一番影響度合いが高いのがメディア掲載でした。「そのネタはメディアに取り上げられそうか」を意識するようにしましょう。

②テーマ、タイトルを先に検討する

一般の市場調査は「明らかにしたい対象」から入りますが、調査PRはテーマやタイトルいわば「ネタ」から考えます。私の場合は日常生活の中で疑問に思ったことなどをネタ帳にメモっていました。のちの調査設計に大きく影響するので、先にタイトルから具体的に考えるようにしましょう。

とはいえ、調査は水ものです。思った通りの結果にならないこともしばしばあります。そのときには、もともとあった仮説やネタに固執することなく、結果から言えることを素直にリリースするのがよいでしょう。変に複雑なクロス集計をすると、手間ですしリリース文も回りくどくなってしまいます。

③世の中ごとを意識する

メディアを意識するという話をしましたが、記者のもとには毎日やまのようにプレスリリースがきます。当然、いちいち詳しく目にとめている暇はないでしょう。そんな中でピックしてもらえるコツとして「世の中ごとを意識する」というのがあります。

メディアの顧客は消費者ですので、消費者の関心ごと=メディアが取り上げたいテーマであるはずです。BtoBマーケティングにおいても、この視点は重要です。いち消費者、あるいはいちビジネスマンとして今何が知りたいのかを考えてみるとよいと思います。

社会的に話題になっていることや季節性も大切です。働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)、今は猫も杓子もリモートワークです。たとえば、本記事の執筆時点で「お?」と思った調査リリースを紹介します。

中高生の8割超、今後も「オンライン授業続けたい」 休校をきっかけに初めてオンライン授業を利用した中高生は半数以上

休校期間の中高生の学習実態に関するアンケート

Z会調査

新型コロナをきっかけとした世の中の「変化」と捉えたアンケートは数多く発表されています。こちらの調査結果は休校という社会的変化をきっかけとした、「オンライン授業」への興味の高まりを明らかにしています。発表したのはZ会グループです。世の中的にも大学の9月入学など、教育改革へと意識が向けられはじめています。個人的にも、教育現場のICTの利用がもっと進めばいいなあと思っています。

巣ごもり中の「おうちピクニック」にも!?引越し侍が「好きなおにぎりの具・お弁当おかず」をランキングで紹介

引っ越し侍調査

「巣ごもり」と「おうちピクニック」という言葉が端的に現状を表していていいなと思いました。地域によって好きなおにぎりの具材が違うという視点もおもしろいです。エイチームさんは頻繁に調査PRを配信されているので、フォローしておくと参考になります。

④切り口を変えてみる

同じようなテーマでも切り口を変えてみると、ガラッと印象が変わります。調査リリースは年々増加しています。もう溢れていると言ってもいいでしょう。そんな中で、目を引くためには「独自性」が重要です。年齢や性別、居住地以外にもいろいろな切り口が考えられます。

令和時代の高校生と母親との会話内容で最も多いのは「友達のこと」。「その日感じたこと」を話すかどうかは男女に大きな差

LINE調査

LINEさんが発表した調査PRです。「令和」というフレーズも頻繁に調査リリースで使われます。メッセージングアプリを提供する同社らしい「親子の会話内容」という切り口は斬新に見えます。この調査を過去にも行っていたら、昭和、平成、令和でどう変わったのかという変化も見れたかもしれませんね。

⑤調査票作成時の聞き方に注意する

テーマや切り口は大事ですが、あまりにもそれを狙いすぎれば恣意的な調査になってしまいます。メディア側はある意味「調査慣れ」しているので、バイアス(先入観)のかかった調査PRは取り上げてもらえない可能性があります。アンケートの聞き方次第で回答内容も変化しますので、なるべく回答者がニュートラルに回答できるような設問設計を心がけましょう。たとえば、下記のようなイメージです。

×:「〇〇というWeb会議ツールを利用していますか」

〇:「利用しているWeb会議ツールを教えてください」

上の設問文だと、回答者に〇〇というツールの利用状況を知りたいのだな、という先入観を持ちかねません。結果的に、利用率が高くなる可能性があります。下の設問文のように、「Web」ツールというカテゴリで聞き、選択肢をいくつか設けることでこうしたバイアスは避けられます。

⑥リリースタイトルの付け方

メインタイトルは最も「引き」のあるものを設定しましょう。調査PRにおけるタイトルのコツは下記です。

・数字を入れる

アンケート調査は定量調査です。割合などの数値で結果が出せることが特徴ですので、なるべくタイトルには数字を入れましょう。

・数字が単調にならないように表現を変える

数字を入れる際にはなるべく単調にならないようにしましょう。たとえば、半数や5割、2分の1といった形でトピックスごとに使い分けるとよいでしょう。

・具体的な社名やツール名を入れる

利用率ランキングなどは、具体的な社名やツール名が入っているとより興味を引けます。その時々に話題になったツールを題材に調査をするのもありです。今だと「Zoom」でしょうか。

・キャッチーなワードを使う

「巣ごもり消費」といったキャッチーなワードはメディアの目も引きやすいです。ただし、あまり狙いすぎるのは逆効果です。基本的にメディアは自社でタイトルをつけますので、「狙いすぎ」は忌避される傾向にあります。

・メールのタイトルになることを意識する

リリースタイトルをメールタイトルとして利用することを意識しましょう。PRTIMESなどのPR配信ツールでは、通常リリースタイトルが記者へのメールタイトルになります。つまり、開封率に直結します。

・トピックスを複数用意する

私の場合は常に4件~5件ぐらいのトピックスを用意するようにしていました。タイトルがひとつだとそれが刺さらなければ終わりです。複数設けることで、とっかかりを多くできます。

⑦プレスリリースのタイミングに注意する

プレスリリースのタイミングもしっかり意識しましょう。進め方の章で述べましたが、リリースするタイミングは掲載数に影響します。たとえば下記のようなことは意識しした方がよいでしょう。

・月曜と金曜は避ける

・サービスや商品が同じなら、配信ペースは多くても週1回ぐらいのペースで配信する

・ときにはスピードも重要。「旬」を逃すと転載はされない

・午前中に配信する。昼休みのメール処理に滑り込める

私の場合は基本的に水曜か木曜の午前中に配信をしていました。

⑧効果を分析、測定する

KPIを決め、効果を分析して施策の再現性を高めましょう。マーケティング施策としたやるならば、効果測定は絶対です。下記のようなKPIを設定し、効果測定をしましょう。

・掲載数

・掲載媒体

・流入数

・SNS拡散数

・CV数

できれば、リリースごとに分析するとどのタイトルが刺さったかという分析もできます。加えて、リードの内容も見ることをお勧めします。狙ったターゲットが獲得できているのかという視点でコンテンツの評価ができるからです。こうしたPDCAサイクルを回すことで、さらに精度があがっていきます。

BtoBで調査PRを行う際の注意点

BtoBの調査PRの調査対象はさまざまです。たとえば上述の中高生の調査のように、一般消費者を対象に調査をすることもあります。この場合、ICT教育用のツールベンダーが学校などの教育機関へ訴求するための調査PRとして活用することができます。つまり、ターゲット企業そのものではなく、ターゲット企業のユーザーを対象にするということになります。

いっぽう、会社員やさらに人事、マーケティングといった特定職種をターゲットとする調査はサンプル数に注意が必要です。配信対象の中でどれぐらい該当者がいるかという割合を「出現率」と言いますが、これが3%を切ることもざらにあります。

消費者向けの調査は多いときで数万、少なくても1,000名ぐらいで行うことが多いですが、BtoBの場合は100名~300名ぐらい確保できれば上々でしょう。可能であれば、一度スクリーニングして抽出したリストに対して、複数の調査を行うようにすれば、調査の費用対効果もあげられます。

調査PRにおすすめのツール

最後に、調査PRにおすすめのツールをご紹介します。セルフ型のアンケート調査ツールは安価に調査を実施できるので、コンテンツマーケティングで活用するにはおすすめです。

・ファストアスク

ファストアスク

セルフ型ネットリサーチツールの代表格とも言えます。1問10円から調査が実施できます。アンケート作成画面も使いやすく、リサーチャーの審査がしっかりしているのが特徴です。

・サーベロイド

サーベロイド

こちらも使い勝手のよいセルフ型ネットリサーチツールです。アンケートモニタ数はやや少なめですので、BtoBの調査リリース、特にビジネスセグメントへの調査を実施する際には母集団が少なくなることもあります。

・キッコエサーベイ

キッコエサーベイ

アンケート調査だけでなく、集計も充実しており、特にテキストマイニングを活用したレポートなどが使えます。アンケートの操作画面はややクセがありますが、しっかりと分析したいという場合にはおすすめです。回答者モニタも上述の2社よりも多くなっています。

・PRTIMES

PRTIMES

プレスリリースの配信ツールです。私の場合、このツールを導入することでメディア掲載数が増え、獲得数を伸ばすことができました。月額7万円(年払い)ですが、ショットだと1リリース3万円ですのでまずはお試しで使ってみてもよいと思います。

調査PRならファストマーケティング

BtoBマーケティングにおいて、調査PRはコンテンツマーケティングのひとつです。ブランディングや空気感の醸成以外に、幅広いリードの獲得に活用できます。プレスリリースを配信するだけでなく、メール配信やホワイトペーパーでの二次利用などさまざまな活用方法があります。

ファストマーケティングはこれまで500本以上の調査リリースを配信、のべ60,000件以上のリードを獲得してきた実績があります

制作から効果測定まで、PDCAを回しながら効果的な調査PR施策を運用いたします。お気軽にご相談ください。

・紹介調査リリース支援:242,000円(税別)

・2回目以降:162,000円(税別)

※調査費用は別途、5~10万程度。PPTレポート。設問数15問、トピックス5件まで。

また、2020年版のBtoBマーケティング調査レポートをサンプルとして無料でご提供しております。ぜひご一読ください。


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BtoBマーケティングの現状調査

超実践!リード獲得完全ガイド【定義から手法、運用まで徹底解説】

新型コロナによりBtoBにもDXの波が押し寄せています。リード獲得のポートフォリオも見直す必要がありそうです。本記事では、BtoBマーケターとして事業会社で過ごしてきた私の実体験をベースに、リード獲得の手法や戦略の立て方などについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

リードとは?

BtoBのマーケティング業務に関わる方なら「リード」という言葉を頻繁に耳にするし、使うと思います。私は当初なんのことかわかりませんでした。英語だと「Lead」となり、直訳すると「手がかり」だそうです。そこから転じて、ビジネスでは見込み顧客の情報をさします。メールアドレスや企業名、住所、氏名、部署、役職などなど。いわゆる名刺情報です。ビジネスへの「手がかり」といったことでしょうか。

BtoBビジネスにおいては(最近はWeb完結のサービスもありますが)、営業活動を行う必要があります。リストをもとに営業がコール(架電)し、アポイントを取り商談の機会を作ります。それから商談を行い案件へとつなげます。つまり、案件を創出するためにはもととなる「リスト」が必要です。その原資がリードです。

営業がバッターならば、リードは打席。いかに打席に立つ機会を生み出せるかが、マーケティング担当の腕の見せ所ではないでしょうか。

私は事業会社で7年間、BtoBのWebマーケティングを行いリード創出してきました。そこでの体験をまじえながら、リード獲得のための手法について解説したいと思います。

リードの種類

リードにはいくつか種類があります。と、その前にBtoBビジネスの基本的なプロセスを確認します。厳密には企業によって異なりますが、おおざっぱにいうと下記のようなプロセスになります。

①リード獲得 → ②コール(テレアポ) → ③商談 → ④案件化(見込み化) → 受注

この中で、マーケティング担当が担うのは①の「リード獲得」となります。リードジェネレーションともいわれます。そして、このリードには下記のようなタイプがあります。MA(マーケティングオートメーション)を使っている方ならなじみが深いと思います。

MQL(Marketing Qualified Lead)

SQL(Sales Qualified Lead)

他にもMALとかSALとか、SGLとかいろいろありますが、とりあえずこの2つを覚えておいてもらいたいです。いずれも「Qualified(クオリファイド)」という単語が入っています。これは「適切な」みたいな意味で使われます。

取得したリードリストを見ると玉石混合であることがわかります。フォームの仕組みにもよりますが、メールアドレスが適当だったり、名前が「ほげほげ」だったりするリードもあります。マーケターはリストから不適切なものを除外し、適切なリードのみを営業部門に渡す必要があります。つまり、マーケティング担当が精緻化し、営業担当へ引き渡したリードが「MQL」です。

ということは「SQL」は営業側で選別したリードとなります。マーケが提供した中でもさらに「濃い」リードです。営業チームで優先的にコールしフォローするリードになります。

働き方改革によってマーケ部門や営業部門にもより生産性が求められるようになりました。営業の人数や、そこから創出できる商談件数は無限ではありません。ということは、その最大商談件数をいかに質の高い商談で埋めることができるかが、生産性向上のキモになるはずです。極端にいえば、成約率100%の商談をフルに入れられたなら、それがその組織の生産性が最大限になっている状態といえます。

リードナーチャリングとリードクオリフィケーション

とはいうものの、成約率100%のリードなんて、そうそうあるはずもなく、現実的には獲得したリードを温めたり整理したりして営業に提供します。よくいう「リードナーチャリング」と「リードクオリフィケーション」です。

・リードナーチャリング

ナーチャリングとは「育成」という意味。獲得したリードに対しMAを使ってメール配信を行うなどして、興味関心を高めるような取り組みをさす。

・リードクオリフィーション

クオリフィケーションは「適格」といった意味で、そこから転じて選別するという意味合いで使われる。より購入確度の高い見込み客を選別することで、営業活動の生産性を高められる。

この2つは、個々に独立した施策というよりは、セットの施策と考えてもらうといいです。MAツールなどでメール配信をする際には、ハウスリスト(自社リスト)に全配信することもありあすが、セグメントやフラグを立てたリストに送信することもあります。

たとえば、ある導入事例をダウンロードした見込み顧客は、成約率が他に比べてとても高かったとします。この導入事例をDLする人は購買意欲が高いという仮説が置けます。MAツールで一定のスコアがある人を抽出し、導入事例のオファーメールを送ることで、濃いリストを営業に渡すことができます。

MA概念図

つまり、リードナーチャリングやクオリフィケーションを行う際には、リードの属性と営業指標との紐づけが行われている必要があります。どのリードが「熱い」のか、をデータで持っておくことが重要です。

リード獲得の手法

現在は、リード獲得の手法も数多く用意されています。オンラインやオフライン、アウトバウンド、インバウンドといった分けかたでくくられることもあります。それぞれざっと紹介します。

・Web広告

リスティング広告やバナー広告に代表されるインターネット広告です。ディスプレイ広告などもここに入るかと思います。運用型が広く普及していて、さまざまな層にリーチできます。リスティング広告やリマーケティングは「顕在層」、ディスプレイ広告は「潜在層」というイメージです。

・SNS広告

スマホやSNSの普及によって、SNS広告があたりまえのようにBtoBで使われるようになりました。特にFacebookは頻繁に見かけます。保管も名刺管理アプリのEightなども広告メニューを持っています。

・動画広告

動画の制作費用も安くなり、簡単なものなら内製で対応できることもあり増加しています。リーチ力があるのはやはりYouTube広告でしょうか。私はあまりやったことがないのですが、5Gの普及と今後のリモートワークや在宅ワークの浸透を考えると、まだまだ伸びしろがあるかもしれません。

・SEO

SEOはGoogleの検索結果の上位に表示されることで、Webサイトの流入を増やすための施策です。昔は悪質な被リンクによるブラックハットSEOが盛んでしたが、Googleのアルゴリズムが変わってからは、質のよいコンテンツを生み出すことが最良の結果につながるようになりました。リスティング同様、「検索」してきているので顕在層にアプローチできます。

・展示会、イベント

新型コロナウイルスの影響で今後はオンラインでの開催へとシフトするかもしれませんが、基本的には展示会場などオフラインで行われてきた施策です。大量にリードを獲得できる大きなチャンスでもあり、毎年大勢の人が全国からイベント会場にやってきます。リードの質としては薄くなりがちなので、ナーチャリング用のハウスリストとして継続的なフォローをしていくとよいでしょう。

・単独セミナー、共催セミナー、カンファレンス

セミナーやカンファレンスもオフラインでの開催が基本ですが、今後はWebセミナー(ウェビナー)が主流になるかもしれません。セミナーはわざわざ時間を取ってくれているので、興味関心が高く濃いリードになります。数は少ないですが、共催セミナーやカンファレンスなど他社とうまくコラボレーションできれば成果を最大化できます。

・ダイレクトメール(DM)

ダイレクトメールもオフライン施策です。A4サイズや長3サイズのレターを送付します。個人的な印象としては、営業のコールネタに使えます。送付後、営業からのフォローコールを行い商談等につなげます。そのためキャンペーンなど何らかのオファーを設定することが多いです。

・テレアポ

ある意味最もスタンダードな営業手法です。選定したリストに対してコールを行います。私は営業職時代、1日300件以上コールしていたこともありました。コールスクリプトを作成し、ブラッシュアップしていくと成功率と再現性が高められます。

・コンテンツマーケティング(ホワイトペーパー、調査リリース、事例、漫画)

ホワイトペーパーや導入事例などのコンテンツを作成し、Webサイトに掲載したりメールで配信したりします。コンテンツマーケティングのメリットは、テーマの設定次第で顕在層にも潜在層にもアプローチできる点です。また、ダウンロードした資料から、課題やニーズも判別できる点がメリットです。

・メールマーケティング

メールマーケティングもスタンダードなオンライン施策です。今はメールアドレスを持っていない企業を探すほうが難しいでしょう。リスティング広告などは、「検索されること」が条件になりますが、メールマーケティングは広く活用することが可能です。メールアドレスの取得には展示会やセミナー、コンテンツマーケティングなども有効です。また下記で紹介する外部メディアの活用も効果があります。

・外部メディア活用

メールを配信するにも、自社にほとんどメールアドレスがないという場合は、自社以外のWebメディアでメール配信するというのも手です。日経BPなどすでに数百万もの会員がいるメディアには、メールマガジン広告というメニューがあります。中には、成果報酬制で実施してくれるメディアもあるので、低コストでリードを獲得することができます。

・TVCM

最近はBtoB企業でもTVCMを打つ企業が増えています。有名なのはベルフェイスさんやSansanさんでしょうか。有名タレントを起用することが多いようです。中には動画制作費用含めて100万円から出稿できるプランもあるようです。CMを打つことで知名度があがり、指名検索(自社名での検索)が増えると、広告の費用対効果もよくなるというデータもあります。

・交通広告

交通広告は駅や電車、タクシーなどのオフライン広告です。中でも最近はデジタルサイネージを活用した動画広告が増えています。こちらも出稿金額は数十万からと幅があるようです。

・紙媒体

新聞、雑誌、業界紙などの紙媒体もスタンダードなオフライン施策です。オンラインだけではターゲットにリーチできない可能性もあります。個人的には業界紙やムックなど特定のターゲットを狙った紙面はありなのかなと思っています。TVCMや交通広告も同様ですが、効果計測が難しいのが難点です。

・代理店開拓

できる商品とできない商品がありますが、営業リソースが少ない場合は代理店開拓をするのも有効です。ITツールベンダーなどはSIerと組んだり、あるいは中小企業診断士やコンサルタントなどの販売網があったりもします。

オンライン、オフライン、それからリードの濃度でまとめると下記のようなイメージです。

オン/オフリードの濃さ
ダイレクトメールオフライン濃い
テレアポオフライン濃い
代理店開拓オフライン濃い
TVCMオフライン認知系
交通広告オフライン認知系
紙媒体オフライン認知系
展示会、イベントオフライン/オンライン薄い
セミナー、カンファレンスオフライン/オンライン濃い
SNS広告オンライン薄い
動画広告オンライン薄い
外部メディア活用オンライン薄い
Web広告オンライン濃い
SEOオンライン濃い
コンテンツマーケティングオンライン濃い~薄い
メールマーケティングオンライン濃い~薄い




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リード獲得ホワイトペーパー


リード獲得戦略の立て方

リード獲得にはたくさんの方法がありますが、ではどの方法を選べばいいでしょうか?これが鉄板!といった施策は残念ながらありませんので(あればみんなそれをする)、現状課題を整理したうえで、チョイスをするとよいでしょう。私の感触としては下記のようなイメージです。

・獲得件数を伸ばしたい

獲得を伸ばすなら、

①展示会、イベント

②外部メディア活用

が確実で1件あたりの獲得コストCPAも安くなります。ただし、質は玉石混交となることも多いです。

営業に一定以上の力があり、かつリードが枯渇しているならばお勧め。

また、上記ほどではありませんが、Web広告やSNS広告、外部メディアも一定のリード数を稼げます。

・営業効率をあげたい(質をよくしたい)

よりリードの質を高めるならば、

①Web広告

②SEO

③メールマーケティング(リードナーチャリング)

④セミナー

がよいでしょう。これらは基本的にニーズが顕在化しているので、商談に結び付きやすい傾向にあります。

・認知を高め、業界内でのポジションを高める

①TVCM

②交通広告

③紙媒体(業界紙など)

最近はBtoBでもTVCMやタクシーの動画広告を活用する企業が多くなりました。出し続けるにはコストがかかりますが、認知度アップにはつなげられます。指名検索が伸びることで、広告のCPAが下がるという相乗効果もあります。ただし、継続して出さないと認知度は落ちるようです。

・予算が少ない、ない

①テレアポ

②コンテンツマーケティング

予算が少ないというのもBtoBマーケではよくあります。テレアポは特別なキャッシュアウトはかかりません。また、コンテンツマーケティングもリード獲得単価を抑えられます。最近はアンケート調査も安価なセルフ型サービスが提供されています。導入事例も自社で作成しようと思えば作れます。特に導入事例は比較的商談に近いコンテンツなのでお勧めです。

Web制作やリニューアル時のポイント

さて、リードの種類や獲得手法について解説させていただきましたが、ここからもう少し具体的な「テクニック」についてもご紹介します。今や、Webサイトはマーケティングになくてはならない存在です。ただ現状、多くのWebサイトはまだまだ改善の余地があるといえます。ちょっとした改善でマーケティングの生産性があがりますので、参考にしてみてください。

・ファーストビュー

ファーストビューとはWebサイトにアクセスした際にスクロールなしで表示される領域です。情報過多な現在、ひとつひとつのWebサイトをじっくり見る人は少数派です。だいたい「パッと見」でスクロールするかどうか決めます。つまり、このファーストビューのキャッチコピーやビジュアルで、どれだけユーザーを留められるかが勝負になります。

なんの商品か、他社との違い、実績などユーザーがその先を見る理由をきちんとファーストビューで説明するようにしましょう。スマホとパソコンでは見え方が違うので、両方でチェックしましょう。

・モバイル対応(MFI対策)

MFIとはモバイルファーストインデックスの略で、最近導入されたGoogleの検索アルゴリズムです。端的にいうと、モバイルに最適化されているかどうかが、PCでのランキングに反映されます。表示スピードなどいろいろありますが、最低限きちんとモバイル用に表示されるかどうかを押さえておきましょう。「レスポンシブ対応」でWebサイトを制作するとモバイルでもちゃんと閲覧できるようになります。

・メンテナンス性

Webサイトは作っただけで終わらせず、定期的にコンテンツを追加するようにしましょう。基本的に、コンテンツが増えれば増えるほど、ヒットするキーワードも増えるので流入数は増加します。WordPressなど更新しやすい仕組み(CMS)を導入しておくと、後から入れ替える必要もなく、コンテンツの追加も楽です。

・タグマネージャー

アクセス解析や広告出稿の際には「タグ」と呼ばれるテキストコードをWebサイトに埋め込みます。これのメンテナンスが実はめんどくさかったりします。広告メニューを追加したり、広告代理店を変更するたびに貼りなおさないといけません。

GTM(Googleタグマネージャー)などのタグマネージャーはこうしたタグの管理を簡単にしてくれるサービスです。GTMは無料で使えます。こちらもあらかじめ導入しておくと、そのためだけにホームページ作成業者に依頼しなくても自分でタグを張り替えることができます。

・CTA

CTAは「コールトゥアクション」の略です。わかりやすくいうと、お問い合わせなどのCVポイントです。Webサイトを閲覧したユーザーには何かしらアクションを行ってもらわなければ意味がありません。ここで、ありがちなのが「お問い合わせ」だけを置いているケースです。

CTAはお問い合わせ以外にも、資料請求やホワイトペーパーダウンロードなど複数設置するようにしましょう。そうすることで、今すぐ問い合わせをするほどではないという見込み客の離脱を防ぐことができます。

CTAを増やすと基本的にCVレートは上昇し、Web経由のCV数は増加します。ただし、顕在層だけでなく潜在層も拾いますので、成約率や商談化率は低下することもあります。

・お客様の声

導入事例やお客様の声など第三者評価は非常に有効なコンテンツです。また、これらのWebコンテンツを閲覧しているユーザーは比較的見込み度合いが高いユーザーともいえます。

お客様の声は、業種や従業員規模など出来る限りバランスよく揃えましょう。自社に近い導入事例などは、成功イメージが湧きやすく商談をうまく進めることができるからです。

・ロゴクラウド

BtoBのスタートアップ系のWebサイトを見ると必ずといっていいほど、導入企業のロゴが掲載されています。こうしたロゴのまとまりをロゴクラウドといったりします。信頼感、安心感にもつながりますので導入先から許可をもらえるのであれば、積極的に設置しましょう。大手企業などがあると箔もつくので、ロゴ取得リストを作って営業チームに協力をしてもらいましょう。

・あえて言葉足らずにする

Webサイトで料金を表示するかどうかは意見がわかれるところです。私の場合は「のせない派」です。営業時代に社長から「値段のことは聞くまでいうな」と何度もいわれていたので……。まあ、それだけじゃありませんが、Webだけで全部わかってしまったら、問い合わせをする必要ってなくなりますよね?なので、Webは「もっと知りたい」と思わせることが仕事だと思っています。

商材や業界によって異なると思いますので、ケースバイケースで。

フォームの設計方法

CTAを複数追加する、という話をしましたがその時には必ずフォームを設置しましょう。それがないとリード獲得にはなりません。フォームの項目ですが、メールアドレスだけで済ませてしまうケースもあります。なんとなくそのほうがCVRも高くなりそうです。

ただ、個人的にあまりお勧めはしません。なぜなら、BtoBでは営業が介在し、そのプロセスでリードを仕分けるために一定の情報量が必要になるからです。たとえば、業種、部署、従業員規模あるいは導入時期などストレートなものもリードクオリフィケーションには重要です。

後から情報を取ることは難しいので、最初から必要な項目はフォームに入れておくようにしましょう。ちなみに私の場合はフォームの項目を増やしたからといって、CVRが大きく下がることはほとんどありませんでした。

リード獲得に役立つツール

Webサイトはリード獲得に必須ですが、他にもMAツールなど導入しておくと便利なツールをいくつか紹介します。

・HubSpot(ハブスポット)

hubspot

HubSpotはリード獲得のための機能を複数備えていて、クレジットが表示されますが無料でも使用できます。CRMやCMA、MAなどこれひとつでBtoBのマーケティング業務をまかなえてしまえます。料金はStarterプランで4,800円/月となっています。メールの配信ボリュームによって従量課金になります。

・SATORI(サトリ)

SATORI

外資系が多いMAツールにおいて、国産のMAツールといえばSATORIです。リードナーチャリングに必要なスコアリングやセグメント、ステップメールなどが簡単な操作で実現できます。またポップアップなどのWeb接客機能があるのも便利です。使っていたことがあるのですが、とにかく画面がサクサク動いて使いやすいです。サポートのレスポンスもいいので、MAビギナーにはお勧めです。価格は10万円~/月です。

・Market(マルケト)

marketo

こちらも有名なMAツールです。大手企業では導入しているところも多いのではないでしょうか。複雑な条件分岐によるシナリオ設計が可能です。ぶっちゃけ何でもできる、という印象ですが他に比べて金額は高めな印象です。非公開ですが数十万/月だったかと思います。自社やチームにエンジニアやデザイナーがいる場合はやりたいことが実現できるので便利かもしれません。

・Pardot(パードット)

pardot

SFAでも有名なセールスフォース社のマーケティングツール。価格は150,000円~/月です。こちらもMarket同様、リード件数が多めな大企業向けといった印象です。使ったことはないのですが、Webサイトを見る限り塚やすそうで、ROIを可視化するダッシュボード機能が使いやすそうです。

・KARTE(カルテ)

karte

カルテはBtoBだけでなくECなどでも広く使われているWeb接客ツールです。Webサイト上のユーザー行動をもとに、コンテンツやポップアップなどのきめ細かな出し分けが可能です。最近BtoBでも増えてきている「チャット」機能もあります。リモート化の波がさらに進むと、BtoBでもチャット接客があたりまえになるかもしれませんね。

無料で試せるものもありますが、クレジットつきだったりするので企業で導入するなら有料版になります。あれば便利ですが、必須ではありませんので自社の予算に見合ったサービスを選びましょう。

営業を巻き込んだプロセス設計と運用が重要

リード獲得をする目的はいうまでもなく売り上げを作るためです。リードジェネレーション、ナーチャリング、クオリフィケーションはいずれもそのためであり、成果をあげるためには営業チームとの連携が重要になります。

Webマーケをはじめたてのころ、私はリードの獲得件数だけを見ていたのですが、売り上げにつながらないリードをいくら取ってきても評価できないと、はっきりいわれました。まあ、その通りだと思います。CPA(獲得単価)ではなくCPO(成約単価)などで施策を評価することで、私の起案内容やアクションも変わっていきました。

ただし、営業チームの仕事は案件を生み出すことですので、あまりマーケ業務に時間を割いてもらうわけにはいきません。なるべく戦略的に効率よく運用をする必要があります。

ここから先はちょっと話が長くなるので、リード獲得業務を軌道にのせるためのKPIの設計方法や、PDCAサイクルの回し方などをホワイトペーパーにまとめましたので、よければ下記よりダウンロードください。

BtoBに特化した伴走型コンテンツマーケティング支援を行います

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