ブログ AIで変わるBtoBマーケティング!現場の活用シーンと注意点

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AIで変わるBtoBマーケティング!現場の活用シーンと注意点

AIで変わるBtoBマーケティング!現場の活用シーンと注意点

BtoBマーケティングのAI活用は、作業を速くするだけでなく、空いた時間を商談化や受注につながる仕事に振り向けられるかどうかで成果が変わります。

限られた人数で展示会、ホワイトペーパー、Web広告、メルマガを回している現場では、施策の量をこなすだけで手一杯になりがちです。AIをどの業務に組み込み、どこを人が担うのかを決めておくと、効率と品質を両立しやすくなります。

本記事では、BtoBマーケティングでAI活用が求められる背景、10の業務シーン別の活用法、導入の3ステップ、注意点、目的別のツールを解説します。

筆者はこれまで多くのBtoB企業のマーケティングを支援してきましたが、施策が単発で終わり、改善サイクルを回せていないケースを多く見てきました。AIを取り入れる場合も、この状況が変わらなければ、速く作れるようになった施策が積み上がるだけになってしまいます。

筆者自身、AI活用で同じ時間で「アウトプットの量」を増やすことができるようになりました。ただし、問いの深堀と方針の決定や提案は今も自分自身で吟味したうえで行っています。

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BtoBマーケティングでAI活用が求められる2つの背景

AI活用が求められる背景には、マーケティング担当者側の体制の課題と、顧客側の情報収集の変化があります。

1.少人数の体制で施策の量と質を両立しにくい

1人や少人数で複数のチャネルを運用している組織では、業務量の多さが課題になります。展示会の企画、ホワイトペーパーの作成、Web広告の運用、メルマガ配信などが重なり、品質の確認や振り返りに時間を割けません。

その結果、施策の量はこなしていても、商談や受注といった事業成果に結びつかない状況に陥りがちです。

当社ファストマーケティング株式会社が2026年5月に実施した「BtoBマーケティングに関する実態調査2026」でも、この傾向が表れています。マーケティング体制で最も多かったのは「営業/広報/企画が兼任」の36.6%でした。

また、6割以上の企業が「数値上は成果が出ているのに、商談・受注につながらない」と感じています。定期的に見ている指標は「サイトアクセス・PV」が38.4%であるのに対し、「新規受注金額・売上貢献」は15.0%、「継続・追加受注・LTV」は7.9%にとどまりました。

定期的にチェックしている指標。サイトアクセス38.4%、問い合わせ33.8%に対し、売上貢献15.0%、SQL数14.8%、LTV7.9%

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2.顧客がAIで情報収集と比較検討を進めている

顧客側の行動も変化しています。営業担当者と接触する前に、Web検索や生成AIを使って情報収集と比較検討を進めるケースが増えています。

画一的な一斉アプローチでは顧客に届きにくくなり、相手の状況に合った情報提供が求められます。AIを活用すれば、これまで手が回らなかったターゲットごとの出し分けや、コンテンツの展開を進めやすくなります。

ユーザーの代わりにAIが情報収集・選定・統合を行い、回答を提示するまでのプロセスを、当社では「エージェントジャーニー」と呼んでいます。生成AIは企業を比較する際、サービスページだけでなく導入事例や実績ページ、ブログも横断的に参照していると考えられます。

一方、企業側の対応はこれからです。前述の実態調査の追加調査では、AI検索・生成AI上での情報露出に関心がある企業は82.6%にのぼりましたが、すでに具体的に取り組んでいる企業は18.2%でした。

AI検索・生成AIを意識した取り組みの状況。すでに具体的に取り組んでいる企業は18.2%、情報収集を始めている22.4%、検討している34.8%

課題として最も多かったのは「AI検索で自社がどのように表示・言及されているか把握できていない」の36.8%です。AIを社内の業務に使うことと、AIに自社を正しく理解してもらうことの両方が、これからのBtoBマーケティングの課題になります。

AI検索対応の課題。自社がAI上でどう表示されているか把握できていない36.8%、情報発信量が不足36.1%、強み・専門性を言語化できていない26.1%

関連リンク:

エージェントジャーニーとは?AI検索時代のBtoBマーケティング戦略を徹底解説

AI活用の前に整えておきたい戦略の土台

AIはマーケティング業務を効率化しますが、任せるだけで売上が上がるわけではありません。成果を出すには、次のようなマーケティングの基本設計が先に必要です。

  • 自社と市場の現在地を把握する3C分析
  • ICP(理想の顧客像)の定義
  • ペルソナとカスタマージャーニーマップの設計
  • リードを選別して営業へ引き渡す基準の明確化

AIが整った文章や提案を作れても、顧客の課題や検討段階に合っていなければ商談化には結びつきません。MQL(商談候補)と、営業が案件化を見込むSQLの基準を決め、部門間の分断を防ぐ体制を作っておくことが前提になります。

AIは戦略を形にするための実行パートナーであり、全体の方向性と顧客理解を設計するのは人です。

前述の実態調査では、リードの引き渡し基準を明確に運用している企業の受注目標達成率は84.6%でした。引き渡しの運用を行っていない企業は26.1%にとどまります。AIで施策の量を増やす前に、この基準を決めておくほうが成果への近道です。

リードの引き渡し基準を運用している企業の受注目標達成率84.6%、運用していない企業26.1%

もうひとつ整えておきたいのが、自社の強みの言語化です。強みを「対応力」「技術力が高い」といった言葉のままAIに渡すと、出力もどの会社にも当てはまる内容になります。「営業担当も全員開発出身」のように具体的な言葉に置き換えてから渡しましょう。

実態調査でも、AI検索対応の課題として「強み・専門性を言語化できていない」が26.1%挙がっています。

AIのアウトプットはインプットで決まります。たとえば、あるお客様は初回商談の議事録をもとに提案書をAIで半自動的に生成する仕組みを構築しました。しかし受注率は上がりませんでした。そもそも商談時のヒアリングが甘く、数値目標や現状の体制、施策の状況などを深堀できていなかったからです。「AIにどのようなデータを渡すか」は、活用の前に棚卸しておきたい重要項目です。

BtoBマーケティングの業務シーン別AI活用法10選

AIを実務に取り入れるには、どの業務にどのような形で組み込めるかを把握しておく必要があります。10の業務シーンごとに、AIに任せやすい作業と人が担う部分を整理します。

AIと人の役割分担。人がインプットを整え、AIが下書き・整理・要約を担い、人が判断して仕上げる流れ
業務シーンAIに任せやすい作業人が担う部分
1.コンテンツ制作構成案、初稿、文字起こしからの要点整理企画、取材、最終確認と編集
2.SEO検索意図の整理、上位記事との比較、リライト案扱うテーマの選定、自社の知見の追加
3.リード獲得広告文やLPコピーの複数案、ABテスト案訴求の方向性、成果の判断
4.SNS・PR投稿文、プレスリリースの下書き発表内容の骨子、表現の最終確認
5.リード育成業種や課題に合わせたメール文面、問い合わせの一次対応シナリオ設計、営業との取り決め
6.顧客理解商談記録やアンケートの分類、傾向の抽出仮説の検証、顧客への確認
7.データ分析・戦略立案市場・競合情報の整理、フレームワークへの当てはめ追う指標の決定、分析の深堀、戦略の判断
8.営業連携議事録の要約、次のアクションの抽出、提案書の下書き営業との対話、基準の合意
9.レポーティングデータの要約、示唆のたたき台投資判断、社内への説明
10.業務自動化データ入力、リスト整理、社内ナレッジの検索自動化する業務の選定、運用ルール

この中で「3.リード獲得」は問い合わせに直結しやすい取り組みです。LPについてはたたき台レベルであればClaudeで比較的容易に制作できます。従来なら手間とコストがかかったニーズに合わせたLPの多展開もしやすくなります。ただし、デザインの仕上げはできることならデザイナーに依頼したほうが得策です。

1.コンテンツ制作:記事・ホワイトペーパー・導入事例の企画と制作

顧客の信頼を得るためのコンテンツは欠かせませんが、制作には多くの工数がかかります。生成AIを使えば、ブログ記事の初稿や、ホワイトペーパーの構成案づくりにかかる時間を短縮できます。

プロンプトでは、次の5つの要素を指定すると、土台となる下書きを得やすくなります。

  • ターゲット読者
  • キーワード
  • 文字数
  • 見出し構成
  • トーン

導入事例では、インタビューの文字起こしから要点を整理し、ストーリーの構成を立てる作業にもAIが役立ちます。人が企画と最終確認・編集を担い、AIが下書きを作る分業にすると、品質を保ちながら制作スピードを上げられます。

筆者がホワイトペーパーの構成案を作る際は、プロンプトを2段階に分けています。まず想定読者、読者の課題、訴求するサービス、タイトル、概要をAIに渡して前提を理解させます。そのうえで、ページ番号、タイトル、内容のポイント、図版案を表形式で出力させます。

ただし、ChatGPTなどの生成AIは事実と異なる内容を出すことがあります。出力は参考にとどめ、人が手を入れて仕上げる前提で使いましょう。

導入事例の場合、AIに任せられないのは取材です。事例の質は、顧客・市場・商材を事前に理解したうえでの取材で決まります。選定理由や比較した相手、新たな要望といった情報は、顧客と直接話すことでしか得られません。

1回の取材で得た素材を、記事、メルマガ、ホワイトペーパー、営業資料へ展開する作業は、AIに下書きを任せやすい部分です。

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【プロンプトあり】ホワイトペーパーの構成案の作成方法と即使える「型」5選

2.SEO:検索意図の分析、記事構成、リライト

SEOでは、キーワード調査と検索意図の分析にAIを使えます。見込み顧客がどのような意図で検索しているのかを、短時間で整理できます。

既存の記事と検索上位の記事をAIに比較させ、不足している要素を洗い出してリライトの構成案を作る使い方も有効です。検索順位やコンバージョン率の改善に向けた作業に、早く着手できるようになります。

テーマ選びまでAIに任せると、検索数の多い用語解説に寄りがちです。筆者は、検索ボリュームはあまり意識する必要はないと考えています。月間のアクセスが10しかない記事でも問い合わせを獲得するケースがあり、反対に月1万のアクセスがあっても1件も問い合わせにつながらないケースがあるからです。

扱うテーマは、営業担当者や技術担当者が顧客から受けている質問から選びましょう。AIには、その質問を記事の構成に落とし込む作業を任せると進めやすくなります。

3.リード獲得:広告文とLPコピーの作成・改善

Web広告の広告文や、LP(ランディングページ)のキャッチコピーやドラフトづくりでは、AIが案出しを支援します。役職や業界の異なるペルソナごとに訴求を複数パターン作り、ABテストの候補を増やせます。

広告予算を増やす前に、LPの改善や入力フォームの最適化にAIを使うと、既存のアクセスを無駄なくリードに変えやすくなります。

コピーの案は増やせても、どの案を残すかの判断は人の仕事です。クリック率やコンバージョン率だけで選ぶと、商談につながらないリードが増えることがあります。経路やコピーごとに、商談化率まで確認して判断しましょう。

4.SNS・PR:投稿文とプレスリリースの企画・制作

日常的な発信が求められるSNS運用では、投稿文の下書きをAIに任せることで、限られた人数でも発信を続けやすくなります。

プレスリリースも、発表内容の骨子を入力すれば、メディア向けに整理された形式の下書きを作れます。

5.リード育成:メールと顧客対応のパーソナライズ

獲得したリードを育成する施策では、AIによる出し分けが役立ちます。見込み顧客の業種や課題、過去のWeb行動に合わせて、文脈に沿ったメール文面を作れます。

Webサイトのチャットボットに生成AIを組み込めば、仕様や導入手順といった問い合わせにも、24時間対応しやすくなります。

メール配信が続かない理由の多くは、ネタ不足と、成果が見えないことです。同じネタを流用してはいけないというルールはありません。過去の記事や導入事例を、業種や検討段階に合わせて書き分ける作業は、AIに任せやすい部分です。

ただし、文面をどれだけ出し分けても、配信して終わりでは成果は見えません。反応があった顧客に誰がいつ電話をかけるのかまで、営業と決めておきましょう。

6.顧客理解:問い合わせ・商談・アンケートからの課題抽出

商談記録、問い合わせ履歴、アンケートなどのテキストをAIに分析させると、顧客の声を整理しやすくなります。どのような課題を持つ企業が、どの製品に関心を持っているのかといった傾向を分類できます。

顧客自身が自覚していないニーズに気づく手がかりにもなります。

AIが出した傾向は、仮説として扱います。エースの営業担当者に、最近受注した顧客や、提案がうまくはまるケース、初回商談で受注確度を判断する条件を聞き、仮説と照らし合わせましょう。

「今は実績がないが今後増やしたい領域」のように、机上で決めたペルソナをAIに渡しても、精度は上がりません。

7.データ分析・戦略立案:顧客データ分析と市場・競合調査

市場データや競合情報の収集・整理にもAIを使えます。競合の公開情報から特徴を抽出したり、3C分析のフレームワークに沿って自社の強みを整理したりする作業を支援します。

前述のとおり、アクセス数や問い合わせ数は把握できていても、受注金額やLTVまで追えている企業は多くありません。AIで顧客の行動データを分析し、購買意欲の高い層に向けた戦略へ見直すことが、費用対効果の改善につながります。

分析の前に、何を見るかを決めておきます。売上を受注数と平均単価に、受注数を商談数と受注率に分解し、経路ごとの商談化率や受注数を並べられる状態にしておくと、AIに渡すデータも明確になります。

このとき、完璧に把握しようとするとスピードが落ちます。多少の抜けや漏れはあってかまいません。データを見た後は「具体的に何をするか、あるいはしないのか」を人間が決めましょう。

8.営業連携:提案資料の作成と商談・議事録の要約

マーケティング部門と営業部門の分断を防ぐうえでも、AIは役立ちます。商談後の議事録の要約と、次のアクションの抽出をAIに任せれば、記録にかかる時間を減らせます。

提案書を要約した議事録や顧客の業界、課題に合わせて調整する作業も支援できます。マーケティングが獲得したリードへの営業の初動が早まり、商談化率の改善が期待できます。

営業にとって、ツールへの入力は負担になりがちです。しかし、入力がなければデータがなく、育成や掘り起こしの仕組みは成り立ちません。実態調査でも、商談化の課題として「顧客・商談情報が記録・共有されていない」が22.0%挙がっています。

最近は、AI議事録ツールと連携し、MAやSFAへの入力まで進められるサービスも出てきています。記録の手間をAIで減らすことは、営業連携の土台づくりになります。

記録がそろったら、営業とマーケティングの合同の振り返りに使いましょう。前述の実態調査では、週1回以上合同で振り返りをしている企業の受注達成率は85%で、実施していない企業の27%を大きく上回りました。

営業とマーケの合同振り返りを週1回以上行う企業の受注目標達成率85%、実施していない企業27%

9.レポーティング:広告・アクセス解析データの分析とレポート作成

効果検証のレポート作成は、手作業では多くの時間がかかります。広告やアクセス解析のデータをAIに渡せば、キャンペーン結果の要約と、次の施策への示唆のたたき台を作れます。

アクセス数の報告にとどまらず、どの施策が商談や受注に貢献したのかの確認に時間を使えるようになります。

経営層が聞きたいのは「SEOで順位が上がった」ではなく「受注が増えたか」です。AIに要約させる前に、商談数や受注数といった営業側の数字をレポートに含めておきましょう。

10.業務自動化:定型作業、データ整理、社内ナレッジの活用

データの手入力、リストの整理、過去のドキュメントの検索といった定型作業は、AIを組み込んだワークフローで効率化できます。

社内のノウハウやナレッジをAIから参照できるようにすれば、過去の類似事例や製品仕様に素早くたどり着ける環境が整います。

担当者の努力だけで運用していると、異動や繁忙期をきっかけに施策が止まることがあります。公開した記事、問い合わせの状況、営業から得た反応を記録しておくことは、属人化を防ぐだけでなく、AIが参照できる社内の情報を増やすことにもなります。

成果につなげるAI導入の3ステップ

AI導入を計画倒れにせず、売上につながる仕組みにするには、順序を追って進めます。

AI導入の3ステップ。業務の棚卸しと課題の特定、1つの業務から小さく始める、効果測定と横展開

1.業務を棚卸しし、「量」と「質」の課題を特定する

日常の業務をすべて洗い出し、どこにボトルネックがあるかを整理します。課題は大きく2つに分かれます。

  • 量の課題:作業時間が足りず、配信や制作の量を増やせない。
  • 質の課題:リードは獲得できているが、商談に結びつかない。

この棚卸しによって、AIに任せる定型業務と、人が注力する戦略領域が明確になります。

質の課題は、AIで制作量を増やしても解決しません。営業組織の体制が整っていない段階で情報収集層のリードを増やすと、営業の対応が追いつかず、かえって効率が下がります。質の課題がある場合は、リードの引き渡し基準やフォローのルールの見直しを先に行いましょう。

2.ツールを選び、1つの業務から小さく始める

最初からすべての業務をAI化しようとせず、難易度が低く効果が出やすい1つの業務から着手します。例えば、メール文面の作成やSNS投稿の作成です。

小さく始めて、AIの特性やプロンプトのコツをつかんでいきます。全社の仕組みを一括で導入すると、運用の負荷に耐えきれず定着しないおそれがあります。

マーケティング施策と同じく、社内で成果が見えないと取り組みは続きません。どの作業の時間が減り、空いた時間を何に使えたのかを営業部門や経営層に共有すると、次の展開への理解を得やすくなります。

3.効果を測定し、改善と横展開を進める

一部の業務でAI活用を始めたら、効果を測定します。作業時間がどれだけ減ったかという効率の指標だけでなく、メールの開封率や商談化率がどう変わったかという成果の指標も確認します。

得られた知見をもとにプロンプトや業務フローを見直し、うまくいく進め方が固まってから、他の施策や別部門へ広げていきます。

振り返りでは、うまくいかなかった原因よりも、うまくいった要因を掘り下げることをおすすめします。筆者が以前在籍していた会社でも、成功要因を紐解いて再現性を高めることに時間を使うよう、口を酸っぱく言われていました。

AI活用で押さえたい3つの注意点

AIを業務で使う以上、特有のリスクへの配慮が欠かせません。押さえておきたい注意点は次の3つです。

1.情報漏洩・セキュリティのリスクと対策

BtoBでは、競合情報、顧客の個人情報、未公開のプロジェクトデータなど、機密性の高い情報を多く扱います。こうした情報を生成AIに入力すると、サービスや設定によっては、入力内容がAIの学習に使われる可能性があります。

対策は次の2つです。

  • 社内ガイドラインの策定:個人情報や機密データの入力を禁止し、入力してよい情報の範囲を決めます。
  • 法人向けプランの利用:入力データを学習に使わない法人向けの環境、または学習への利用をオフにできるプランで運用します。

例えばChatGPTの場合、法人向けのChatGPT BusinessやChatGPT Enterpriseでは、入力したデータは既定でモデルの学習に使われません。個人向けのプランでは学習に使われる可能性がありますが、データコントロールの設定で学習への利用をオフにできます。

職場や学校のアカウントで使うMicrosoft 365 Copilot Chatにも、エンタープライズデータ保護が適用され、プロンプトと応答は基盤モデルの学習に使われません。

プランや設定の内容は変更されることがあります。導入時は、各サービスの公式ページで最新の条件を確認してください。

2.AIの誤情報(ハルシネーション)とファクトチェック

生成AIは、もっともらしい文章で事実と異なる内容を出力することがあります。これをハルシネーションと呼びます。実在しない統計データ、法律、企業名などを作り出すことがあるため、AIが示した情報は、信頼できる一次情報にあたって確認しなければなりません。

仕様や数値の正確さが重んじられるBtoBでは、誤った情報の発信は企業の信頼を損ないます。人による校正の工程を必ず設けましょう。

確認の観点は、制作を始める前に決めておくと進めやすくなります。数値の出典、製品仕様、他社名や料金の記載など、誰がどの観点でレビューするのかをあらかじめ合意しておきましょう。

3.著作権やコンプライアンスへの配慮

AIが生成した文章や画像が、意図せず他者の著作権や商標を侵害している可能性があります。出力をそのまま公開せず、自社の専門知識、独自データ、事例を加えて仕上げることで、独自性を確保できます。

あわせて、公開前に法的な問題やブランドイメージとのずれがないかを確認する、社内レビューの体制を整えましょう。

自社の調査データや導入事例は、AIが自力では作れない一次情報です。前述のとおり、生成AIは企業を比較する際に導入事例や実績を参照していると考えられます。一次情報を加えることは、権利面の対策だけでなく、検索エンジンと生成AIの双方から評価されるための取り組みにもなります。

AI活用でよくある失敗と対策

ここまでの内容を、よくある失敗と対策として整理します。

よくある失敗起こりやすい理由対策
AIで制作量は増えたが、商談が増えない顧客の課題や検討段階の整理がないまま制作しているペルソナと、リードの引き渡し基準を先に決める
出力がどの会社にも当てはまる内容になる自社の強みが抽象的な言葉のまま入力されている強みを具体的な対応内容に置き換えてから渡す
一括導入したが定着しない運用の負荷が大きく、成果も見えにくい1つの業務から始め、小さな変化を社内に共有する
効率は上がったが成果がわからない作業時間の削減だけを測っている開封率や商談化率など、成果の指標もあわせて測る
機密情報を入力してしまう入力してよい情報の範囲が決まっていないガイドラインを定め、法人向けのプランで運用する
誤った情報をそのまま公開する確認の担当と観点が決まっていない一次情報での確認と、公開前のレビューを工程に入れる

目的別のBtoBマーケティング向けAIツール

自社の目的に合ったツールを選ぶことが、成果への近道です。目的別に、代表的なAIツールを紹介します。

サービスの名称やプラン、料金は2026年10月時点の各公式サイトの情報です。変更されることがあるため、導入前に最新の情報をご確認ください。

ちなみに筆者はClaudeとChatGPTのデスクトップアプリを使用しています。ベースはClaudeでGoogle広告、Google Search Console、Microsoft Clarity、WordPressをAPI連携させてデータ分析からコンテンツ制作までAIと対話しながら行っています。ChatGPTは新規事業の壁打ちなどに利用しています。

ツールは、まず対話型AIを1つ決め、そのうえで業務に合わせて専用のツールを足していくと選びやすくなります。目的別の全体像は次のとおりです。

目的別のAIツール一覧。対話型AI、画像・デザイン・資料、広告・アクセス解析、MA・CRM・営業連携、業務自動化、生成AI基盤の6分類

対話型AI:調査・文章作成・分析の土台になるツール

文章の下書き、調査、データの整理など、幅広い業務の土台になるツールです。

ツール特徴確認しておきたい点
ChatGPT文章生成やアイデア出しに幅広く使える対話型AI。画像生成機能「ChatGPT Images」も備える法人向けのBusiness・Enterpriseは、入力データを既定で学習に使わない
ClaudeWeb検索、ファイル作成、外部ツールとつなぐコネクタを備えた対話型AI。有料プランでは調査機能(Research)やプロジェクト機能も使えるProは月額20ドル(年払いは月17ドル)。法人向けのTeam・Enterpriseは、入力内容を既定で学習に使わない
GeminiGoogleの対話型AI。GmailやGoogleドキュメントなどWorkspaceのアプリと連携でき、Deep Researchで調査レポートも作れるGoogle Workspaceの仕事用アカウント(Business・Enterpriseの各エディション)では、チャット内容が人によるレビューやモデルの改良に使われない
Microsoft 365 Copilot ChatWeb上の情報をもとに回答するAIチャット。トレンド情報の収集に向く社内のファイルやメール、会議をもとにした回答には、有料のMicrosoft 365 Copilotが必要
PerplexityWeb上の情報を調べて回答する、調査向けのAI。複数の手順で調べてレポートにまとめる機能もある法人向けのEnterprise Proは1席あたり月額40ドルから。Enterpriseプランのデータは学習に使われない
Gemini Notebook(旧称:NotebookLM)アップロードした資料だけをもとに、引用付きで回答するAI。PDF、Googleドキュメント、WebページのURL、YouTube、音声ファイルを読み込めるアップロードしたデータはモデルの学習に使われない。Google Workspaceの全プランに含まれる

導入事例や営業資料、過去の提案書をGemini Notebookに読み込ませておくと、自社の資料に書かれた内容をもとにした下書きを得られます。前述の「強みを具体的な言葉で渡す」を実行しやすくなる使い方です。

画像・デザイン・資料作成のAIツール

バナーや図版、スライドの作成に使えるツールは、次のとおりです。

ツール特徴確認しておきたい点
CanvaデザインツールにAI機能を組み込んだサービス。文章生成(Magic Write)、画像生成、サイズ変更(Magic Resize)などが使える無料プランでも利用できるが、回数に上限がある。有料プランで上限と使える機能が広がる
Adobe Fireflyアドビの生成AI。Adobe Stockの画像、オープンライセンスのコンテンツ、著作権の切れたコンテンツで学習しており、商用利用を想定して設計されているベータ版の表示がない機能の生成物は、商用利用できる。生成クレジット制。アドビ以外のパートナーモデルも選べるため、モデルごとの条件を確認する
Midjourneyサービスやコンセプトのイメージ画像を短時間で作成できる画像生成AI有料プランのみ(月額10〜120ドル)。年間総収入が100万ドルを超える企業はProまたはMegaプランが必要。生成画像を非公開にできるステルスモードも、この2プランに限られる
Gammaプロンプトからプレゼン資料、ドキュメント、Webサイト、SNS投稿を生成するサービス。PDF、PPTX、Googleスライドに書き出せる無料プランは1回の生成で10スライドまで。Plus以上で上限が100スライドに広がり、Gammaのロゴ表示も外せる

なお、OpenAIの画像生成AI「DALL-E」は、2026年5月12日にAPIでの提供が終了しました。ChatGPT内の公式DALL·E GPTも2026年8月30日に終了しており、現在はChatGPTの画像生成機能に引き継がれています。

広告運用・アクセス解析のAI機能

新しいツールを契約しなくても、すでに使っている広告や解析ツールのAI機能から始める方法もあります。

ツール特徴確認しておきたい点
Google広告「検索キャンペーン向けAI最大化設定」既存の検索キャンペーンに加える最適化の機能。登録キーワード以外の関連語句への配信、広告文の自動生成、最終ページURLの拡張を行う新規キャンペーンでは既定で有効になる。意図しない語句やURLに広がらないよう、ブランド設定、URLの除外、テキストガイドラインを確認する
Microsoft Clarity(Copilot)無料で使えるヒートマップ・セッション録画ツール。Copilotが、セッション録画やヒートマップの傾向を文章で要約する生成AIの要約は誤ることがあると、公式ドキュメントにも注記がある。気になる箇所は録画そのものを確認する

MA・CRM・営業連携のAIツール

顧客の行動履歴を分析し、購買意欲の高さをスコアリングするMAツールのAI機能は、リードの選別に役立ちます。

マーケティングと営業の情報連携には、AI機能を備えたCRMツールが役立ちます。商談の音声を文字起こしし、議事録の要約や次のアクションを抽出するツールを使えば、営業担当者は顧客対応に時間を使えます。現場で得た顧客のニーズを、マーケティング部門に早く共有できる点も利点です。

ツール特徴確認しておきたい点
HubSpot(Breeze)CRMに組み込まれたAI。Breezeアシスタントが、CRMのデータをもとにメールの下書き、顧客レコードの要約、商談前の準備を支援するBreezeアシスタントは、すべてのHubSpotサブスクリプションに追加費用なしで含まれる。エージェント機能はProfessional以上のプランが必要で、一部はクレジットを消費する
Salesforce(Agentforce)AIエージェントのプラットフォーム。見込み顧客の質問に答えて商談を設定する営業向けエージェントや、キャンペーンを最適化する機能がある料金はFlex Credit、ユーザー単位のライセンスなど複数の体系がある。導入時に見積もりで確認する
Notta会議の文字起こしとAI要約のツール。Zoom、Google Meet、Microsoft Teams、Webexに対応AI要約をSalesforce・HubSpotへ同期する機能は、ビジネスプラン以上で利用できる
amptalk analysis電話と商談を文字起こし・要約・解析し、SFAに自動入力する商談解析ツール料金は問い合わせで確認する

業務自動化のAIツール

定型作業の自動化や、社内ナレッジの活用に使えるツールは、次のとおりです。

ツール特徴確認しておきたい点
Zapier9,000以上のアプリをつなぎ、定型作業を自動化するサービス。自然言語で自動化を組み立てるCopilotや、AIエージェントの機能がある無料プランは月100タスクまで。Professionalは月額19.99ドルから
DifyノーコードでAIアプリやワークフロー、社内ナレッジを検索する仕組みを構築できるプラットフォームクラウド版は無料のSandboxプランから試せる。自社環境に導入できるオープンソース版もある

自社データを安全に扱うための生成AI基盤

自社のデータを安全な環境で分析させたい場合は、クラウド事業者が提供する生成AIの基盤を使う方法があります。

サービス特徴確認しておきたい点
Azure OpenAI in Foundry Models(旧称:Azure OpenAI Service)マイクロソフトのMicrosoft Foundry上でOpenAIのモデルを利用できるサービスプロンプトと出力はOpenAIに提供されず、許可なく基盤モデルの学習に使われない
Amazon Bedrock複数の企業の基盤モデルをAWS上で利用できるフルマネージドのサービス入力と出力はモデルの提供元と共有されず、基盤モデルの改善にも使われない

どちらも生成AIを組み込んだアプリケーションを構築するための開発者向けの基盤です。契約すればすぐに分析を始められるものではないため、情報システム部門や開発パートナーと進める前提で検討しましょう。

ツールの選定や運用に迷う場合の相談先

社内にノウハウが不足しており、戦略立案から施策の実行、ツール導入の調整までをまとめて進めたい場合は、外部の支援会社に伴走を依頼する方法もあります。

例えば、当社ファストマーケティング株式会社は、集客から商談化までを一本の流れとして設計し、SEO、導入事例制作、広告運用などに優先順位をつけながら伴走支援しています。

生成AIの活用については、座学とハンズオンでスキルを習得する研修も提供しています。AI基礎研修、生成AIの安全な使い方、プロンプト作成ワークショップなどで構成した、中小・地方のBtoB企業向けの講座です。

そのほか、Web改善やSEOに強い株式会社ニュートラルワークス、データの定量分析に強みを持つStrh株式会社など、自社の課題に合った支援会社を検討するとよいでしょう。

関連リンク:

BtoBマーケティング戦略策定会社9選を比較|戦略から実行支援まで

まとめ:AIで生まれた時間を戦略と営業連携に使う

AIは日々の定型作業を引き受け、BtoBマーケターの時間を生み出してくれるパートナーです。ただし、任せきりにするのではなく、生まれた時間を人にしかできない業務に使うことが成果につながります。

本記事の要点は次のとおりです。

  • AIを使う前の準備:3C分析、ペルソナ、カスタマージャーニー、リードの引き渡し基準を先に決める。
  • AIの使いどころ:下書き、整理、要約をAIに任せ、企画、取材、判断は人が担う。
  • 進め方:1つの業務から小さく始め、効率と成果の両方を測りながら広げる。

目の前の施策をこなすだけの「点」のマーケティングから、売上や受注までを「線」でつなぐマーケティングへ進めていきましょう。

筆者が最も大切だと感じているのは、マーケティングと営業の対話です。以前在籍していた会社では、週次でマーケティングと営業が会議を行い、「今どのような提案が刺さっているか」「合い見積もりになる競合はどこか」といった定性的な情報を共有していました。

AIは、こうした対話の時間を作るために使うものだと筆者は考えています。ダッシュボードを閉じ、自社の組織や顧客とじっくり向き合う時間をつくることも、継続的に成果を出すために必要なプロセスです。

ファストマーケティング株式会社では、BtoBマーケティングの戦略策定から実行まで、ワンストップで支援しています。これからマーケティングに力を入れていきたいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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ファストマーケティング株式会社(代表:峯林 晃治)
BtoBに特化した伴走型コンテンツマーケター。残りの半生はひたすらコンテンツづくりをしようと思い立ち独立。京都出身。営業→Webディレ→SEOコンサル→事業会社でBtoBマーケ→フリーランス⇒法人化。400本以上の調査レポートでのべ60,000件以上のリードを獲得。FaberCompanyならびにディレクターバンクにてシニア・ディレクターを務める。登壇実績多数。特技はギター弾き語り。好きな映画はスタンドバイミー。ビッグフィッシュ。Twitterではコンテンツマーケティングや育児、日常などをつぶやいています。 https://x.com/leadSparKing

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